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明るい星が少ない秋の夜空で、木星の輝きが増しています。明るさはマイナス2.6等からマイナス2.8等に達し、11月3日の「衝」に向けて観測シーズンを迎えます。
衝とは外惑星が太陽と正反対の位置にくる瞬間のことで、最も地球に近付いて明るく見える時。この時期の木星は、太陽が沈む頃に東の空から昇り、日の出の頃に西の空に沈むため、一晩中見ることができます。
4日の宵から5日の明け方にかけて、月齢19の半月よりも少しふくらんだ下弦前の月が木星に接近します。5日の夜明け前、月と木星は南の空高くに移動し、東の低空には明けの明星・金星も姿を見せ、華やかな眺めになるでしょう。
日本国内で観測されるのは、2009年9月24日以来14年振りとなる「アンタレス食」。月齢6の月がさそり座の1等星アンタレスを隠す「星食」が起こります。
月は地球から見ると西から東へと進み、約1か月で空を一周しています。月が背後に広がる星空を横切って移動する時、恒星を隠す現象を月による「星食」、または「掩蔽(えんぺい)」といいます。1等星などの明るい恒星の星食は肉眼でも観察しやすく、隠す天体の名をとって「○○食」と呼ばれています。
アンタレスが月に隠される「潜入」は、21日の日没前の17時過ぎに起こります。アンタレスは月の暗い部分(暗縁)から隠されますが、まだ空が明るいため、潜入の様子を観察することは難しいでしょう。ぜひ観測したいのは、アンタレスが月の背後から現れる「出現」の様子です。日没後の18時30分過ぎに起こり、アンタレスは月の明るい部分(明縁)から姿を現します。恒星は点像にしか見えないため、出現は一瞬の出来事。出現の瞬間を捉えるには、予報時刻の少し前から観察を始めることがポイントです。肉眼でも観測可能ですが、双眼鏡や望遠鏡を使用するとより見やすくなります。
潜入・出現の時刻や月の高度、月とアンタレスの位置関係は、観察場所によって異なります。事前に確認してから観測に臨みましょう。
★おもな都市の潜入と出現の時刻
国立天文台「アンタレス食」
「十五夜」ともいわれる「中秋の名月」は、旧歴(太陰太陽暦)8月15日夜の月のこと。この日の月は一年のうちで最も美しいとされ、古より観月の行事が催されてきました。
旧暦では新月の日を朔日(1日)としていました。そのため、月の満ち欠けの中間点にあたる15日が満月になると考えられていました。実際には、月の公転軌道は楕円形で、新月(朔)から満月(望)までの日数は13.9日から15.6日と変化があります。そのため、中秋の名月は必ずしも満月になるとは限らないのです。
今年の中秋の名月の日は、3年連続で満月の日付と一致します。満月の瞬間は19時頃のため、宵に昇ってくる名月がまさに満月になります。次回、中秋の名月と満月の日付が一致するのは、7年先の2030年9月12日です。しばらく見ることができない満月の中秋の名月。今年のお月見は、明るい光を湛えた丸い月をゆっくり眺めたいですね。
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2023』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2023年9月)」