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まず大事なのは登山計画をしっかりと立てるということです。どんな山を登るにしても、必ず登山計画を立てるようにしてください。登山計画の有無で登山の成功と安全性が大きく変わってきます。何よりも自分自身の安全に対する意識が変わります。
たとえば往復の予想タイムが6時間のコースを登るとして、登山計画がないと自分のペースが遅いのか速いのか判断できません。実際には大幅に遅れているのに山頂を目指してしまい、下山時には暗闇の中を歩くなんてことになります。
登山計画があれば「計画よりも1時間遅れているので、引き返そう」という判断がしやすくなります。また、感覚に頼るのではなく、計画的に休憩を入れることで、体力を消耗して下山できなくなるということを防ぎやすくなります。
計画を立てるときに大事なのは、悪天候などの状況もきちんと考慮するということです。山の天気アプリなどで、きちんと天気予報をチェックして、悪天候になったときにどう対処するか事前に検討しておきましょう。
安全に登山を楽しみたいなら、コンディションが整っていない状態では山には入らないようにしてください。少し風邪気味だったり、仕事が忙しくて睡眠不足になった場合は、迷うことなく登山を諦めるか、難易度の低い山に変更しましょう。
ただ、健康も自分の感覚だけで決めてしまうと「これくらい大丈夫」と判断があまくなりがちです。
・体温が37.5℃以上、もしくは平熱よりも1℃以上高い場合
・下痢をしている
・頭痛がある
基本的にはこのように、仕事を休むかどうか悩む程度の体調不良でも登山はやめてください。また、最近は活動量計機能を持ったスマートウォッチで自分の体力を確認できますので、活動量計を購入して毎日の健康管理をするのもおすすめです。
・血中酸素飽和度
・ストレス値
・疲労度
スマートウォッチを導入することでこれらのデータも確認でき(機種によります)、客観的に自分のコンディションを把握できるようになります。
どれだけ備えていても、山でのトラブルを100%回避することは不可能です。ただ、トラブルが起きたときに迅速な救助があることで、被害を最小限に抑えられます。そのためにはまず、登山計画書を提出することが重要になります。
合わせて自分の位置を家族や友人が把握できるようにしておきましょう。Google Mapには「現在地を共有」機能がありますので、その機能を使って自分の現在地を共有してください。ただし、Google Mapは携帯の電波が入る場所でないと利用できません。
圏外になる山に登る場合には、電波が届かない場所でも位置情報を共有できる「みまもり機能」を搭載したアプリ「YAMAP」などを活用しましょう。みまもり機能はすれ違った登山者のいち情報をまとめて交換できるため、遭難した場合に捜索の足がかりになります。
実際にYAMAPを使って遭難者を発見したケースもありますので、自分の身を守るために導入しておきましょう。
また、電波の届く場所では、こまめに登山中の写真をSNSに投稿するというのもおすすめです。
登山でのトラブルを回避するためにとても重要なことが、引き返す勇気を持つということです。たとえ目の前に山頂が見えていたとしても、自分のコンディションが低下しているのを感じたり、雲行きが怪しくなってきたりしたら、迷わず引き返しましょう。
眼の前で起きていること、自分の体の中で起きていることに対して、少しでも違和感があった場合には、まずは立ち止まること。そして前に進むかどうかを考えましょう。その時点で起こりそうな最悪の事態を想定し、リスクが低いと感じたうえで前に進んでください。
登山において無謀な挑戦は誰も褒めてはくれません。大事なのは100回挑戦したとして100回きちんと帰ってくること。100回の挑戦のうち100回とも目標を達成できなくても、きちんと帰ってこられたならそれでいいと考えてください。繰り返しますが大事なのは無事帰ってくることです。
これは意識を変えれば誰でもできることです。むしろ意識を変えなければ登山での不要なリスクに付きまとわれて、いつか大きなトラブルになってしまう可能性があります。そうならないためにも、まずは引き返す勇気を持つようにして、山を安全に楽しみましょう。