- 週間ランキング
富士登山の難しさは2つあります。ひとつは何時間も体を動かし続けるということと、もうひとつは低酸素環境に順応しなくてはいけないということです。後者は個人差があり、鍛えたり備えたりすることである程度は対応できますが、努力で何とかするのは限界があります。
ところが「何時間も体を動かし続ける」というのは、努力次第でほぼクリアできます。運動習慣がある人なら、高山病にさえならなければ、特別なトレーニングをしなくても登頂できますし、小学生でもきちんとエネルギー補給すれば登れてしまいます。
ただし、普段は通勤や家事くらいでしか体を動かしていないという人だと、すぐに息があがってしまいますし、心肺機能も低下しているので低酸素環境に耐えられず、高山病のリスクが高くなり、途中で下山しなくてはいけなくなります。
それを回避するために、まずはウォーキングから始めましょう。最初は30分で構いません。公園や河川敷など安全な場所を歩いてください。30分間疲れずに歩けるようになったら、次は40分、その次は50分というように時間を延ばしましょう。
ここで気をつけてもらいたいのが水分補給です。ウォーキングに出かけるときはできるだけスポーツドリンクを持っておきましょう。水やお茶ではなくスポーツドリンクです。甘くて苦手という人もいるかと思いますが、効率よく水分補給できるスポーツドリンクに慣れておくのも、富士登山を成功させる重要な要素になります。
1時間くらいのウォーキングを苦もなくできるようになったら、今度は階段トレーニングを行いましょう(10〜30分)。階段はしっかりと段差があるものが理想ですので、マンションやビルなどの階段を登り降りするのがおすすめです。
階段トレーニングの効果はいろいろあるのですが、ここでの目的は筋力アップと心肺機能の向上にあります。富士登山は有酸素運動だから筋力なんていらないのでは?と思うかもしれませんが、筋力というのは体の動きに余裕を与えてくれます。
筋力があれば下山するときに転倒リスクが下がりますし、下山してからの回復も早くなるので鍛えておいて損はありません。もちろん日常生活のちょっとした動きも、階段トレーニングを行うことで楽になるので、富士登山をしない人にもおすすめです。
ただし、筋トレになるので毎日行うのはNG。超回復理論に従って、中2日もしくは中3日の休みを入れて行ってください。もちろん休みの間にウォーキングを入れるのはOKです。むしろウォーキングと組み合わせて、効率よく鍛えましょう。
30分の階段トレーニングも問題なくできるようになったら、今度は山を登ってみましょう。山は階段のように同じ高さの段差が続くわけではなく、不規則な動きの連続になります。その不規則な動きに体を慣れさせることが目的になります。
また不整地を歩くことで、小さな筋肉が刺激されるので筋力アップにもなります。しかもリュックを背負って歩くことになるため、上半身や体幹周りの筋肉を鍛えられるといった効果もあります。体を慣らすために、まずは里山などのハイキングコースから始めてください。
余裕があれば富士登山の1ヶ月前くらいから、2,000m級の標高の高い山に登るようにしてください。富士山のスタート地点となる富士宮口五合目が約2,400mですので、それに近い標高で自分の体がどう反応するかを経験しておくことで、富士登山でパニックにならずに済みます。
ただし、標高が高い山に登っておくのは必須ではありません。予定を組んでいても、天候や自分のコンディションが良くない場合には無理せず、体を休ませましょう。
富士登山にトレーニングが必要だと頭では理解したけど、現実問題として仕事が忙しすぎて、トレーニング時間を確保できないという人もいますよね。そういう人におすすめなのが低酸素環境で鍛えることができる低酸素トレーニングジムです。
以前はトップアスリートが利用するような施設でしか低酸素環境を作り出せませんでしたが、最近は手軽に利用できる低酸素トレーニングジムが増えており、誰でも効率よくトレーニングできるようになっています。
低酸素トレーニングジムでは心肺機能を高めるだけでなく、何度も通うことで低酸素環境に体が順応していくので高山病対策にもなります。しかもトレーナーが在籍しているので、富士登山に必要となる筋力を集中的に鍛えるプログラムを提案してもらえます。
他のトレーニング方法とは違い、ジムの利用料金がかかりますが、実際に標高が高い山に行くことを考えれば割安です。仕事が忙しいわけじゃないけど、高山病が不安という人は、ぜひ低酸素トレーニングジムを活用して、低酸素環境に体を慣らしておきましょう。