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全天21の1等星のうち秋の星座で見られるのは、みなみのうお座のフォーマルハウトのみ。4つの1等星が輝いていた夏に比べると、秋の夜空はしっとりと落ち着いた印象になります。明るい星が少なく華やかさはありませんが、夜空の風情に季節の移り変わりを感じることでしょう。
みなみのうお座は古くから知られていた星座で、プトレマイオス48星座のひとつ。フォーマルハウトとはアラビア語で「魚の口」を意味し、星座の魚の口にあたる位置で白く輝いています。
南の低い空にぽつんと光るフォーマルハウトは、明るい星が少ない秋の夜空で目を引く存在。10日の21時頃は満月の右下に、夜半過ぎには月の下の方に、その姿が見ることができます。中秋の名月ととも輝く秋の1等星を、ぜひ観賞してみましょう。
みずがめ座の水瓶から流れる水を、口で受け止める魚の姿で描かれているみなみのうお座。フォーマルハウトを目印にして、南東の方向にみずがめ座が位置しています。
みずがめ座は、ギリシャ神話では大神ゼウスの酒を注ぐガニメデスの姿と伝えられています。 彼の美しさに魅了されたゼウスは、鷲に変身して天にさらっていったのです。ガニメデスが持つ水瓶から流れ落ちる水は、不老不死の酒ともいわれ、みなみのうお座へと注いでいます。
みなみのうお座は、一説によると、太陽の神アポロンの姿といわれています。 神々の宴の場に、突然、怪物テュポンが現れました。驚いた神々は、思い思いに姿を変えて逃げ出します。この時、アポロンが変身した姿が星座になったと伝えられています。一方で、うお座との関連から、愛の女神アフロディテの姿との説もあります。
秋の星空の天頂近くには、4つの2等星が四角く並ぶ「秋の大四辺形」が広がっています。四辺形のなかに明るい星がないため見つけやすく、秋の星座を探す目印にされてきました。わかりにくい時は、フォーマルハウトから上の方にたどっていくと、四辺形の右下にあたる星を探すことができます。
四辺形はペガスス座の胴体、左上に輝くアルフェラッツがアンドロメダ座の頭部にあたります。アンドロメダ座の足元にはペルセウス座、ふたつの星座の間を上方にたどるとカシオペア座の姿も見ることができるでしょう。
秋の星座には、天馬ぺガススと冒険の旅に出る英雄ペルセウスの物語が描かれています。神々と人間が織り成す神話の世界を想像しながら、澄みわたる秋の夜空を眺めてみてはいかがでしょうか。
参考サイト
星座図鑑・秋の星座
国立天文台「ほしぞら情報」