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自然の環境では、雨水は地面に吸収されたり、地表面を流れたりしながら、ゆっくりと川にたどり着きます。ただ、あたり一面をアスファルトに覆われていることが多い都市部では、時間雨量100mlを超える局地的豪雨に見舞われた際、半分の50mlほどしか排水することができません。残りの50mlが都市部にあふれてしまうことで、道路の冠水などの水害が発生するのです(内水氾濫)。都市部では、地下に駐車場を設けていることも多く、駐車場が浸水してしまうという被害も発生しています。
都市型水害が発生した際、「早く逃げなければ」と避難をはじめても、扉の向こう側が浸水していると、扉が開かなくなり避難は困難です。では、扉の向こう側の水位が何センチになると、開かなくなる(開きづらくなる)のでしょうか。本所防災館の「水圧ドア体験」では、水位10cm、20cm、30cmそれぞれのドアにかかる水圧を体験することができます。
水位30cmから体験をはじめた石榑予報士。「走る気象予報士」という肩書きをもつ、日ごろからアクティブな彼女でも、水位30cm・水位20cmの水圧のかかった扉はびくともせず、くるぶし程度の高さの水位10cmで、ようやく開けることができました。
アンダーパスなどの周囲より低くなっている道路では、局地的豪雨の際、冠水する可能性が高くなります。本所防災館では、冠水したアンダーパスなどで立ち往生してしまった車内で扉を開けられるのか、という体験もすることができます。こちらも、水位30cm、20cm、10cmそれぞれの体験をすることが可能です。再び、水位30cmから体験をはじめた石榑予報士。やはりこちらでも、水位30cm・20cmの水圧のかかった扉はびくともしませんでした。
ただし、浸水の始まる車内にずっと留まっておくことは大変危険。とにかく脱出することが大切です。窓も開かず、エンジンもかからないという場合、便利なレスキューツールがあるとのこと。1台に1つ、用意しておきたいですね。
今回の体験を通して、「大雨が降ってから避難の行動に移る」では遅いのだと分かりました。最新の天気予報、防災情報をこまめに確認し、災害級の大雨に見舞われる前に避難をしておく、高い場所に逃げておくという行動をすることが大切です。
また、ハザードマップを活用して、大雨が予想される場合には、事前に冠水のおそれのある道路を避けることも大切。何より、日ごろからの備えが肝心です。9月1日は防災の日。この機会に防災について考えてみましょう。
動画解説:石榑亜紀子 気象予報士