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芸術といくつもの文化が交流する情熱の国、スペイン(正式国名:スペイン王国)。西欧の大国で常に人気の旅行先にあげられるほか、スポーツ強豪国としても知られているため国旗を見た事がある人は多いはず。しかしながら「描いてみて」と言われると見ながらでも描き写すのが困難なレベルの難しさです。
もっとも厄介なのが中央左にある国章のデザイン。5つの王国の紋章を組み合わせたデザインなのですが、注意深く観察しないとなかなか認識できません。また、紋章の横に立つ2本の柱は「ヘラクレスの柱」と呼ばれ、スペインと中南米の領土を表しているとされています。
ちなみに、柱に巻き付いた帯にはラテン語で「PLVS VLTRA(より彼方へ)」と記されていますが、新大陸が発見される前までは「Non Plus Ultra(ここは世界の果て)」と記されていたそう。
ヨーロッパの各国が覇権を争った大航海時代。圧倒的な造船、航海技術で世界中に植民地を獲得したスペインは、地球の東から西にいたるまで領土を持っていたため「太陽の沈まない国」と呼ばれていました。
現在のスペインがあるイベリア半島は、東はヨーロッパ、北は海峡をはさんでイギリス、南は地中海をはさんでアフリカ大陸があるため、文明の十字路と呼ばれています。古来、多くの文化、人種、宗教が交差するため、スペインの各地方に残る文化や風習、祭事は全く異なり、話されている言語も異なります。
東京から南におよそ2400km南の海に浮かぶ北マリアナ諸島(正式名称:北マリアナ諸島自治連邦区)。こちらの旗は見るからに緻密で、パッと見ただけでは詳細までとらえきれません。
中央には北マリアナの自治を示す白い星があり、その下には先住民族チャモロ人の文化を象徴する古代の石造建造物「ラッテ・ストーン」が描かれています。そしてデザイン難度を世界屈指のレベルにはね上げているのが、ラッテ・ストーンを囲むように描かれた、花飾りや貝殻で作られたレイのような存在。これはチャモロ人の伝統的な花輪・花冠と言われています。
ちなみに1981年までは、白い星とラッテ・ストーンのみというデザインだったので、比較的簡単な部類の旗だったようです。
北マリアナ諸島に点在する島々は“南の島”のイメージ通り、世界有数の透明度を誇る美しい海に囲まれています。観光地として有名なサイパン島やテニアン島、ロタ島が所属しているのもこの北マリアナ諸島です。観光業が主な外貨獲得手段で、観光客の多くが日本人ということもあり簡単な日本語なら通じる場所が結構あるそう。
中央アメリカの北東部に位置し、国土の東側にカリブ海が広がるベリーズ。こちらの国旗は美術作品と言って良いほど緻密なデザインが施されています。
中央の紋章でまず目に付くのが、斧と櫂を肩に担いだ男性です。左右非対称な上に髪型やズボンの皺などほぼ全て異なっていてこれを描き写すだけでも至難の業。さらにベリーズ特産のマホガニーの木や帆船、ノコギリ、葉など他にも複雑な線で構成されている要素がいくつも…。もはや何も見ずに再現するのは不可能です。ちなみに国旗に人間が描かれているのは2022年現在でベリーズのみなんだそう。
「カリブ海の宝石」と呼ばれるベリーズは約450の離島を有するリゾート地として知られ、多くのアメリカ人やカナダ人が観光に訪れます。特に有名な観光スポットといえば海に沈んだ“地球の目”と呼ばれる「ブルーホール」。ブルーホールの中には約65000年前にできたという鍾乳洞や洞窟のような地形が残っており、どうやって特殊な地形が形作られたのかは未だにわかっていません。そんなブルーホールにはなんとダイビングで潜ることもできるということなので、ベリーズへ行く機会があれば是非体験してみたいものです。
南アメリカ大陸の北西部に位置するエクアドル(正式国名:エクアドル共和国)。こちらの国旗は赤、黄、青、緑、白、茶色、山吹色、水色、グレーの9色を使っており、世界で最も色数を使っている国旗と言われています。
先に紹介したベリーズ国旗に負けず劣らず、中央には精緻な美術作品のようなデザインがほどこされており、虫眼鏡で一つひとつを見ていかなければ何が描かれているのかすらわかりません。主には「羽を広げるコンドル」「エクアドル最高峰のチンボラソ山」「商船」「青空と太陽と黄道」などのエクアドルのシンボルが描かれているということですが、全ての構成要素を正確に把握している人は日本にどれだけいるの?といったレベルです。
スペイン語で「赤道」を意味するエクアドルはその名の通り赤道上に位置しています。赤道直下ということもあって暑い国と思われがちですが、主要な都市である首都キトは、アンデス山脈の中腹に位置しているため一年を通して冷涼な気候です。山岳地帯や熱帯雨林地帯が多く動植物や自然の宝庫としても知られており、ダーウィンが進化論を着想したことで知られるガラパゴス諸島もエクアドルに属しています。
本シリーズの最後にご紹介するのが、「世界で最も難しい国旗」と形容されるトルクメニスタン(トルクメン人の国という意味)の国旗です。カスピ海に接する中東のトルクメニスタン国旗には、左側に絨毯文様のデザインが施されています。
これはトルクメン人の5つの代表的部族を象徴するものなのですが、細か過ぎて手で描き写すことは困難を極めます。難しいデザインの国旗としてトリを飾るにふさわしい、まさに横綱級の高難度です。
日本人にはあまり知られていないトルクメニスタンですが、天然ガスや石油などのエネルギー資源に恵まれており、経済的にはとても裕福な国です。最近では、噴出する天然ガスが1971年から燃え続けているというクレータ「地獄の門」がある国としても知られるようになりました。
実物を見ながらでも描くのが難しい世界の国旗≪超難問編≫をご紹介しました。何も見ないですべて正確に描けるという人は、世界中を探してもほんの一握りしかいないのではないでしょうか。