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春の1等星のなかで、いちばんの明るさを誇るのがアークトゥルスです。東の空でオレンジ色に輝く姿は印象的。全天で4番目に明るく、霞んだ夜空でも見つけやすい星です。
アークトゥルスには「熊の番人」という意味があります。北斗七星が位置するおおぐま座の後ろで、熊を追いかけているように夜空をめぐる姿から名付けられました。
オリオン座などの冬の星座が西の空に傾き、東からアークトゥルスが姿をあらわすと、季節の移り変わりを感じます。アークトゥルスは、春を象徴する星といえるでしょう。
アークトゥルスから目線を右下へ移すと、南東の中ほどの空におとめ座の1等星スピカが青白く輝いています。オレンジ色のアークトゥルスと白く光るスピカは、その色の対比から「春の夫婦星」と呼ばれています。
右手に植物の葉、左手に麦の穂を持つ女性を描いたおとめ座。その姿はギリシア神話の農業の女神デメテルともいわれており、スピカには「穂先」という意味があります。※諸説あり
アークトゥルスとスピカを結ぶ線から、南の上方にはしし座が雄大な姿を見せています。しし座の尻尾の部分にある2等星デネボラと、アークトゥルス、スピカの3点を結ぶと「春の大三角」になります。冬の大三角と比べるとひとまわり大きいため、空を広く見渡すイメージで探してみましょう。
しし座は黄道12星座であり、プトレマイオスの48星座でもある、最も古くから知られた星座のひとつ。形もわかりやすく、堂々した姿は春を代表する星座といえます。
「春の大三角形」のデネボラから西の方を見ると、ライオンの胸にあたる部分に1等星レグルスが白く輝いています。レグルスには「小さな王」という意味があり、地動説で有名なコペルニクスが命名したといわれています。しし座は、バビロニアや古代エジプトでは、王権の象徴とされていました。
ギリシア神話では、勇者ヘラクレスに退治された化け物ライオンとされています。ライオンの顔から前足にかけての「?」マークを逆にしたような星の並びは「ししの大がま」と呼ばれ、レグルスはその一番下(南)に位置します。
春はサイズの大きな星座が多いのが特徴です。ダイナミックな反面、星がまばらに見え、1等星も少ないため、星座や星がわかりにくいかもしれません。ぜひ「春の大三角」を目印にして、星空を観測してみましょう。
参考サイト
アストロアーツ「星空ガイド」