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太陽系の惑星は、地球を基準にして太陽に近い内側の軌道を回る水星と金星を「内惑星」、地球の外側の軌道を回る火星、木星、土星、天王星、海王星を「外惑星」と呼びます。惑星が地球から見て太陽と同じ方向にあることを「合」といい、このときは地球からその姿を見ることはできません。内惑星の場合は、太陽より近くを通る「内合」と、太陽を挟んで遠くを通る「外合」があります。
内合を過ぎた内惑星は、反時計回りで太陽の西側に移動します。地球からは、日の出前の東の空に姿を見ることができます。金星が「明けの明星」と呼ばれるのは、この位置にあるときなのですね。
その後、内惑星は移動しながら太陽から徐々に離れていき、太陽から西に最も離れるときを「西方最大離角(太陽の西側で起きる最大離角)」といいます。西方最大離角を過ぎると再び太陽に近付いていき、「外合」を経て今度は太陽の東側に姿をあらわします。「東方最大離角(太陽の東側で起きる最大離角)」の頃には夕方の西空に輝き、金星は「宵の明星」として再び美しい姿を見せてくれるのです。
惑星は太陽光を反射して輝いているため、太陽に近い内惑星は月と同じように満ち欠けをして見えます。外合の頃は地球からは明るい面しか見えず、満月のようになります。太陽からもっとも離れて見える最大離角のときは、明るい面と暗い面がちょうど半分ずつ見えるため、半月形になります。内合のときは暗い面のみになり、新月と同じく見ることができなくなるのです。
地球と月の距離に比べると、地球と水星、金星のあいだの距離は大きく変化します。そのため、内惑星は満ち欠けに加えて見かけの大きさ(視直径)も変化します。満月のように丸く見えるときは、地球から離れているので小さく見え、内合の頃の欠けているときほど地球に近くなり、大きく見えることに。
金星の場合は、内合の頃と外合の頃では視直径で約6倍もの違いがあります。もっとも明るく見えるのは、金星の場合は内合の前後約36日のときで「最大光度」と呼ばれています。最大光度の頃に双眼鏡や望遠鏡で観察すると、三日月のように欠けた金星の姿を見ることができるでしょう。
約1年7か月の周期で満ち欠けを繰り返し、見かけの大きさも変化する金星。昨年末まで宵の明星として西の空に輝いていましたが、1月9日に内合となり見えなくなりました。1月下旬には、明け方の東天に「明けの明星」として再び姿をあらわします。
1月30日は、夜明け前の低空で火星と並ぶ姿に注目してみましょう。火星の下には新月2日前の細い月も見られ、幻想的な美しい光景となりそうですね。この時期はまだ日の出の時刻が遅く、朝6時を過ぎても星を見ることができます。すこしだけ早起きして、朝の星空観察をしてみるのはいかがでしょうか。
金星は、2月に入るとどんどん輝きを増します。13日には最大光度を迎え、1等星の100倍以上という明るさのマイナス4.9等に。2022年の金星は明けの明星として輝く期間が長く、夜明け前の空で美しい姿を見せてくれます。
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ
・参考サイト
アストロアーツ「内惑星の動き」
国立天文台「満ち欠けする金星」