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「紅葉狩り(もみじがり)」は日本人には欠かせない習慣のひとつですよね。春に桜の開花や満開が気になるように、秋も紅葉の見ごろのシーズンは見逃したくないもの。今では私たち一般庶民でも楽しんでいる紅葉狩り(もみじがり)ですが、その歴史は古く、奈良時代や平安時代に貴族の間で広まったと言われています。百人一首にも「ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 唐紅に 水くくるとは」(在原業平)などと、紅葉の美しさを詠んだ歌が多く残されています。江戸時代には庶民の間にも広まり、今では誰もが楽しめる秋の行楽の一つとなっています。
紅葉は場所や環境によって美しさが様々。紅葉が美しく色づための条件には、寒暖差と、十分な日照があること、そして適度な水分が必要です。紅葉は、最低気温が8度を下回ると色づきが始まると言われ、さらに5度になると色づきが美しくなると言われています。その条件が揃っているのが、紅葉の名所が多い京都もその一つです。
京都盆地は三方を山に囲まれた内陸盆地で、「夏は酷暑、冬は酷寒」と言われ、夏は暑く、冬は冷え込むのが特徴です。夏は日照時間も多く、最高気温が35℃を超えるほどの猛暑になることもあります。過去30年間(1991年~2020年)の京都の平年値は、真夏日(最高気温30度以上)は年間で75.8日、そのうち猛暑日(最高気温35度以上)は年間19.4日と、東京のおよそ4倍もあります。一方、晩秋から冬にかけて、晴れて風が弱いと放射冷却が起こりやすく、朝晩はグッと冷え込むことも多くあります。冬日(最低気温0度未満)は年間で18日と、東京の15.2日よりも多く、年間の寒暖差が非常に激しいことが分かります。また年間の平年の降水量は1522.9ミリと、適度に雨が降り、鴨川や桂川といった大きな川が流れ、水分環境も整っています。紅葉が美しくなるための条件として、京都は場所的に恵まれている環境といえそうです。
そんな京都には、紅葉のおすすめスポットが多くあります。その中からいくつかご紹介しましょう。
「モミジの永観堂」として知られる紅葉の名所。イロハモミジなど約3000本の紅葉が境内を彩ります。平安時代に文人の藤原関雄が古今集に詠んだ歌「奥山の岩垣紅葉散りぬべし、照る日の光、見る時なくて」に由来する「岩垣もみじ」は、永観堂の七不思議のひとつになっています。また、境内の中心には放生池があります。この池を取り囲む紅葉が池に映し出される様子も美しいものです。
「通天もみじ」として知られる東福寺。秋の京都観光に欠かせないスポットのひとつ。通天橋一帯には約2000本のカエデが植えられ、紅葉の名所として知られています。洗玉澗(せんぎょくかん)と呼ばれる渓谷から通天橋を見上げると、紅葉の素晴らしさに心打たれるほど。東福寺はとにかく多くの観光客が訪れますが、周辺にある東福寺の塔頭でも紅葉が楽しめる所もありますので、ゆったりと過ごせる穴場スポットを探すのもいいかも。
京都駅からJR嵯峨野線で快速で約11分。言わずと知れた紅葉の名所です。桜や新緑の季節から、紅葉の秋へと季節ごとに様々な表情を見せてくれます。晩秋の朝に、頑張って早起きができたら、空気がピンと張りつめる中、ぜひ嵐山へ。早朝、渡月橋から日の出を拝むのもオススメです。朝日に照らされた嵐山は、より一層赤く染まって、美しさが増します。
秋の京都の空を思い切り感じたいなら、鴨川デルタがおすすめです。東から流れる高野川、西から流れる賀茂川の合流点、京都・出町柳にある鴨川の三角州のことで、川を横切るように飛び石が設置されています。飛び石は、正式には横断構造物(帯工)といって、本来は川床の安定を図る目的で設置されたものですが、水量が少ない日には、童心に返りながら、向こう岸まで飛び越えて渡るのも楽しく、市民や観光客の憩いの場所としても人気です。こちらの他にも、飛び石は4か所(高野・北山・荒神・二条)にあり、場所によって船や鳥、四角のブロックもありますので、ぜひ他の場所も訪れてみるのもいいですね。
晩秋11月の京都の最高気温は、平年で17.3度、最低気温は平年で8.4度と、朝と日中との寒暖差が大きくなります。紅葉が見頃になる11月下旬頃には、日中は晴れると日差しが暖かく感じられて、観光で歩き回ると、上着を脱ぎたくなるほどの暖かさの時もありますが、朝晩の気温は6~7度を下回ることも。夜はグッと冷え込んできますので紅葉のライトアップにお出かけの際は、万全の寒さ対策をしてお楽しみください。tenki.jpでは全国の紅葉スポットの紅葉見ごろ情報を更新中です。ぜひ紅葉狩りの参考にしてくださいね。
・永観堂ホームページ
・パンフレット「永観堂ふしぎめぐり」
・知ってる?平安時代から続く秋の風物詩「紅葉狩り」の由来
・京都・観光文化検定試験公式テキストブック
・京都府HP 鴨川真発見記~鴨川・高野川の飛び石