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甘くて瑞々しいぶどう。スーパーなどで並んでいるのぶどうの種類の多さにはこの時期驚きますが、世界にはなんと1万種類以上もの品種があり、日本の品種だけでもレアなものも含めて100種以上もあるそうです。品種改良によって、粒の大きさや風味などが異なる様々な品種が今も生まれ続けています。農林水産省の統計によると、令和2年度においての都道府県別のぶどうの収穫量割合は、山梨県が21%、長野県が 20%、山形県が9%となっており、この3県で全国の約5割を占めています。
《参考資料》農林水産省 作物統計調査
日本ぶどうの品質は海外でも高く評価され、輸出量は2014年からの2018年までの4年間で3倍近くに増えています。時代の変化によって、人気の品種も変わるようで、昔はデラウェアが一般的でしたが、その後、巨峰がシェアを誇り、現在は粒が大きく、種なしで皮ごと食べられる品種の人気が高まっているようです。特にシャインマスカットは、皮が薄い割には割れにくく、日持ちも良いということから生産者の間でも人気が高く、栽培面積を急速に増やしています。
ぶどう栽培の歴史は古く、なんと1300年に及ぶと言う説もあるそうです。ぶどうの生育には気候条件が大きく関係してきます。水はけがよく、寒暖差が大きいというのが大きなポイントです。日本を代表するぶどうの産地である山梨県の甲州市。中でもぶどう栽培が盛んな勝沼町は、扇状や山麓斜面に立地している土地がほとんどで、水はけの良い土壌が広がっています。また、日照時間が長く、一日の寒暖差が大きいため、やはりぶどう栽培に適した土地だからこそ、1粒に甘みがぎゅっと濃縮されたぶどうが育ちます。
甲州市観光商工課に今年のぶどうの出来栄えについてお伺いしたところ、7月上旬と8月のお盆の時期は一時的に雨が続き、生育が心配だったが、大雨の多かった去年と比べると雨の影響は少なく、味も良く、色合いも良いということで「生育は良好だった」ということです。ぶどうの生育に大きく関わる7月の降水量。去年2020年7月の勝沼の月降水量は432ミリで、1976年の統計開始以来、7月としては最も多い雨量になりました。今年7月もどちらかというと多い方ではありますが、去年に比べると半分くらいの220ミリとなっています。
美味しいぶどうの見分け方についてまとめました。
〇皮の色が黒系・赤系は濃い 黄緑系は鮮やか
巨峰などの色の濃い品種では、果皮の色が濃くて黒に近いほど美味しいぶどうです。また、マスカットなどの黄緑系品種に関しては、やや黄色に近い鮮やかな色合いのものが美味しさを見分ける基準です。ぶどう狩りも皮の色に注目して行って、美味しいぶどうを探してみてください。
〇軸が茶色ではなく緑色
房についている軸が枯れて茶色になっているものは、鮮度が落ちている証拠です。青々とした緑色の軸であるほど鮮度は高いものと言えます。美味しいぶどうを見分ける大切なポイントです。
〇実と実の間が詰まっていない
実の重みで房が垂れているのが熟した美味しいぶどうを示すサインなので、一つ一つの実がぎっしりと詰まっているものよりも実と実の間隔が適度に空いているぶどうを選びましょう。
〇白い粉がついている
ぶどうの表面についている白い粉は、実から分泌される保護膜です。実の美味しさの鍵を握る水分が飛んでしまうのを防ぎ、細菌などからも守ってくれる役割があります。白い粉が実全体についている量が多いほど、鮮度が保たれた美味しいぶどうの証拠にもなります。
保存方法ですが、ぶどうはあまり日持ちがしません。3、4日ほどは持ちますが、鮮度が落ちると、風味や味も落ちてくるので、なるべく早めにいただきましょう。冷蔵庫の野菜室か涼しければ冷暗所でも保存できます。乾燥すると味や風味が一気に落ちてしまうので、新聞紙で包んだり、保存用バッグに入れて保存しましょう。茎から実を外さないとうのも鮮度を保つコツです。一日で1房食べきれない時には、茎を短くカットして茎と一緒に実を残しておきましょう。食べる際には20分から30分ほど前に冷蔵庫から出して常温にしておくと、甘味を感じやすくより美味しくいただけます。旬のうちに冷凍しても、とても美味しく、長く楽しめます。
今年初めて食べた「紅富士」という品種。紅富士はゴールデンマスカット×クロシオの交配種で、独特の香りがとてもよく、果汁も豊富でコクのある甘みがジュワっと口に広がり、印象に残る美味しさでした。
黄緑色や赤や黒…それぞれ風味が異なり、知れば知るほど色々と試したくなります。数多くのぶどうが出回る時期、ぜひ、お気に入りの品種を探して、食べ比べを楽しんでみてはいかがでしょうか。
《参考資料》農林水産省 ぶどうを味わう