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何よりも大切なのは、飼い主自身が安全に、確実に避難することです。飼い主の安全なくして動物の安全はありません。
◆基本原則
自分たち(人)の避難携行品(避難袋等)にあわせて、動物用も用意しておくとよいでしょう。また、家族以外の人やほかの動物に対しても社会化を進めておくと、ほかの人たちへの迷惑や、動物自身のストレスの軽減に役立ちます。あわせて、お住まいの各自治体の災害対策状況も調べておきましょう。
◆具体策
1.犬猫とも日頃から首輪に慣らす
犬は畜犬登録を済ませ、鑑札、飼い主を明示する標識(迷子札)を、猫は迷子札を装着します。
2.マイクロチップを装着する
マイクロチップ(https://jspca.or.jp/microchip.html)の装着は、取れてしまうことがないので首輪と併せると大変有効です。
3.正しいしつけとともに、社会性(対人・対動物・ある程度の騒音など)を身に付ける
災害時の動物救援施設は通常多頭飼育になります。ほかの動物との接近、接触も考えられますので、体を清潔に保ち、内外部寄生虫の駆除、ワクチン接種など、必要な健康管理をしておきます。
心構えができたら、実際に必要な準備をしましょう。
●ケージ、キャリーバック等
ペットの大きさにあわせたケージ、キャリーバッグ等を用意し、鍵や留め具が緩んでいたり、壊れていたりしないことを確認して、飼い主の連絡先を取り付けておきます。
●ペットフード
避難先では、慣れないフードやストレスで食餌が十分にとれない場合も多くあります。いつものフードを普段から1週間分ほど余分に備蓄しておくとよいでしょう。
●療法食
獣医師から療法食を指示されている場合には、避難所での入手は相当困難なことが考えられます。
●ペットシーツや猫砂
慣れているトイレ用品の備蓄も忘れずに。
●薬
現在治療中、療養中のペットは、薬を常に1週間程度余裕をもって処方してもらいましょう。
犬猫とも室内飼育をお勧めします。家族との絆がより深まることが期待できます。特に猫は、外に出すと自由に歩きまわりますので、お勧めしません。けがや健康を害する機会(ケンカや、病気の動物との接触)が多く、これをなくすことができます。また、ケージやキャリーバッグにも慣らしておきます。
では、実際に具体的にはどのような事に気を付けながら準備したらいいのでしょうか。Pet Clinicアニホス院長で博士・獣医学、獣医師の弓削田直子先生に話を聞きました。
―ペットフードの備えについて
『日頃食べているペットフードの備蓄も必要です。多くのご家庭では、ドライタイプのフードを与えていると思います。1袋開封したら1袋購入しておき、常に備蓄された環境にしておくことがお勧めです。また、「水」の確保が難しい場合に備えて、水分含有量の多いウェットタイプやシチュータイプの缶詰やパウチを備蓄しておくと、水分摂取の一助となります。これらのフードは「消費期限が迫った際には食餌の際に与え、新しい物を購入し備蓄する」といった「循環備蓄」を心がけることも大切です。』
―災害発生後の犬や猫の援助について
『災害時はヒトの生命が第一となりますが、少し時間が経過(災害規模により異なりますが、平均的には1週間が多いようです)しますと犬や猫の援助にも手が差し伸べられるようになります。療法食も供給される機会も増えつつありますが、いつも食べているメーカーの療法食とは限りません。体調が許せば、効能が同じ異なるメーカーの療法食に馴れておくことは、いざという時に良いでしょう。
療養中でお薬を服用している場合には、常に1週間程度余裕のある状態にしておき、多少の水濡れに耐えうる状態で保管しておくことが望ましいでしょう。そして、想定外の様々な状況に備えて、服用しているお薬の内容を把握しておくことは非常に重要です。』
―マイクロチップ装着について
『2019年6月に「動物愛護及び管理に関する法律」が一部改正され、犬猫等販売業者は、犬猫の個体識別のためのマイクロチップの装着が義務付けられました。また、犬猫等販売業者以外や改正法成立以前にご家庭に迎え入れた犬猫の場合のマイクロチップ装着については、努力義務となっています。災害時にはマイクロチップは非常に役立ちます。マイクロチップ装着には、ごく稀にある種の検査機器を使用する際の障がいとなることがあります。メリットデメリットを良く理解して装着することをお勧めします。』
犬や猫の災害対策も普段からの準備が大切です。大切な家族の一員でもあるペットの災害への備えにぜひ参考にしてください。