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そもそも「山」というのは何なのか。あたり前のように使っている言葉でも、定義を聞かれると意外と答えに詰まるものが多く、「山」もそのひとつではないでしょうか。それもそのはず、日本には「山」に対して明確な基準や定義がありません。
岩波国語辞典第八版によると「平地より著しく高く盛り上がった地形の所」が「山」となっていますが、「◯m以上あるから山」という決まりがあるわけではなく、平地よりも高い盛り上がりがあり、そこが「山」だと主張されると山になります。
実際に仙台にある日和山は高さが3メートルしかありません。実はこの日和山は標高が6メートルありましたが、東日本大震災で削られて3メートルになったことで、大阪にある天保山(4.53メートル)よりも低くなり、日本一低い山となっています。
ちなみに国土地理院の「日本の山岳標高一覧 ―1003山―」が2万5千分の1地形図などの基本測量の成果を基礎としていることもあり、2万5千分の1地形図に聳肩体(しょうけんたい)で山の名前が記載されていることが、一般的に山であるかどうかの識別に使われています。
このため、自分で庭に1メートルの山を作っても、2万5千分の1地形図に聳肩体で記載されないと、日本一低い山になることはありません。
【参考】
国土の情報に関するQ&A|国土地理院
日本の主な山岳標高
日本一低い山は仙台の日和山ですが、この「日本一」争いは興味深いものがあり、日和山に1位を譲った大阪の天保山ですが、「三角点のある日本一低い山」として条件付きではありますが日本一を維持しています。
三角点は正確な位置を求める測量をおこなうために、国土地理院が作った位置の基準となる点のことで、仙台の日和山には三角点がありません。このため「正確な位置を測量している」山としては、天保山が1番低いというわけです。
ただし、日和山も天保山も自然の山ではなく筑山(人工の山)です。そうなると気になるのが自然の山でどこが1番低いかということですが、これは徳島にある弁天山が標高6.1メートルで「日本一低い自然の山」ということになります。
せっかくですから「日本一低い火山」も紹介しておきます。日本一低い火山は山口の北長門海岸国定公園にある笠山で、標高112メートルあり、さすがに火山にもなるとそれなりに登りがいのある高さになります。
関東平野という言葉からは想像しづらいかもしれませんが、実は東京23区にはたくさんの山があり、その数は100以上とも言われています。東京は平地というイメージが強いかもしれませんが、実は坂が多く、下記のように山が付く地名がいくつもあります。
青山
代官山
権現山
城南五山(島津山、池田山、御殿山、八ツ山、花房山)
千石山
飛鳥山
この他にも、西郷隆盛像のある上野恩賜公園も「上野の山」とも呼ばれています。スカイツリーや東京タワーなどから東京の街を眺めると、いたるところに緑があるのがわかりますが、その中にいくつもの山があります。
ただし、国土地理院の地形図に記載されている山は25.7メートルの愛宕山だけ。このため、正式には愛宕山が東京23区で最も高くて、最も低い山ということになります。ちなみに非公式の記録としては下記が該当するとされています。
東京23区で1番高い山:箱根山(44.6メートル)
東京23区で1番低い山:待乳山(約10メートル)
10メートルの山なら5分もかからずに登山できそうですよね。箱根山も44.6メートルなので、ちょっとした散策の途中で登れてしまいます。このような超低山が日本にはいくつもありますので、近所の山を調べて山の日に登ってみるのもいいですね。
低山とはいえ真夏の移動になるので、できれば午前中の涼しい時間帯に水筒やペットボトルなどを持って、熱中症対策をしっかりと行った上で登りましょう。