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丼は室町時代に誕生した「芳飯(ホウハン)」が原点と言われているようです。芳飯は、ご飯の上に野菜や魚などの刻んだ具材を乗せて、その上から味噌汁を注いで食べるものです。同時代の中国でも「泡飯」という、ご飯にスープをかけて食べられているものがあり、これが日本に入ってきたと考えられています。
その後、今の丼に近い形になったのは、江戸時代と言われています。「天ぷら」をのせる天丼が原型という説と、「うなぎ」をのせるうな丼が原型という説が主流です。どちらもいまだに人気のあるメニューですよね。大正時代以降、文明開化とともに、人々の生活にも肉類を食する習慣が定着し、「牛丼」や「親子丼」、「カツ丼」などが誕生しました。
『漬け(ヅケ)』とは、保存技術がまだ発展していない時代に、魚介類の保存期間を延ばすために、醤油に漬けたことから来ています。現在では、一般的に、「赤身を醤油に漬けたすし種をいう」(*デジタル大辞泉/小学館)とされています。
今回ご紹介するレシピは「『漬け』のタレ」と「酢飯」の基本の作り方です。漬ける魚はマグロやサーモンなどがおすすめです。スーパーや魚屋でもお得に買えることが多いので、そのような時を狙って作ってみてもいいかもしれませんね。お好みで刻んだネギや卵黄、アボカドなどを丼に添えても、味のバリエーションが広がり、ボリュームが出ます。酢飯についても、この季節柄にぴったりのガリや、大葉、ミョウガなどを細かく刻んで混ぜ込むと、とても爽やかです。
少し多めに作って、漬けの具は翌日のサラダに、酢飯はおにぎりやおいなりさんに変身させてしまうのもおすすめです。酢飯は冷凍もできます。ただし解凍の際に、少し酢の風味が飛ぶことを覚えておいてくださいね。
作り方は簡単です。覚えるのは、「1・2・3」。材料は酒、みりん、醤油をこの割合で準備します。作り方は、おおよそ4人前程度の量だと、酒50cc、みりん100ccを合わせて中火にかけます。外側からふつふつし始めて、全体が小さな泡でふつふつとしたら火を止めます。そのまま粗熱が取れたら、醤油を150cc加え、漬けダレの完成です。お好みの魚を漬けて、30分ほど冷蔵庫で寝かせればOKです。
今回は2合を目安に作ってみましょう。ご飯は炊飯器にお任せしますが、いつもの水分量より気持ち硬めに仕上がるように調整しましょう。酢飯作りの大切なポイントは、『炊き上がり後すぐに寿司酢と合わせること』です。炊き上がりまでに寿司酢は作っておきましょう。
寿司酢は、酢40ml、砂糖14g、塩5gを合わせます。炊き立てのご飯にまぶしますので、砂糖や塩が溶け切っていなくても大丈夫です。
ご飯が炊けたら、寿司桶もしくは大きな平たいお皿にご飯をあけ、寿司酢を全体に回しかけます。この際のポイントは『ご飯は切るように、すばやく混ぜる』ことです。お米の粒が潰れてしまうと粘りが出て、べったりとした食感になってしまうので注意しましょう。
慣れてきたら、使う酢の種類で遊んでみても楽しいですよ。一般的には米酢がスタンダードですが、穀物酢であればシャープな味になります。リンゴ酢であれば酸味がまろやかで、やや甘めに仕上がります。ワインビネガーであればフルーティになり、いつもと違った風味が感じられます。黒酢やバルサミコ酢は色が濃くなりますが、独特な味わいがあります。
これからの時期にさっぱりと手軽に食べることができる漬け丼を、ぜひ楽しんでみてくださいね。
参考
全国丼連盟