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エゾモモンガは、日本では北海道にだけ生息しています。体長は15cmほど。見た目がかわいらしく、とってもラブリーなので、北海道限定のグッズにもたびたび登場していますが、夜行性なので、昼間に森や公園で出会うことが比較的難しいとされています。
樹上で生活し、食べることも住むことも木に頼っています。モモンガなので、両手両脚を広げて滑空し、木から木へと移動します。その距離は数十m。条件がよければ100m以上も飛ぶことができます。
食に関しては、ほぼ完全な植物食。春はシラカバやハンノキなどの若芽、夏から秋にかけてはシラカバやカエデの実、ミズナラのドングリなど、冬はシラカバ、ハンノキ、カラマツなどの冬芽や花穂を食べます。
エゾモモンガは、木にあいた樹洞(じゅどう)とよばれる穴を巣穴としています。この穴は、元々はキツツキやアカゲラがあけたもので、もう使われなくなった古い巣穴をエゾモモンガがねぐらにして再利用します。
巣穴の出入り口は直径が4~5cmほど。エゾモモンガにはちょうどよい大きさです。ここにヤマブドウなどの樹皮を細かく裂いて敷きつめ、寝床にします。巣の深さは30cmほどになることも。
冬眠しないエゾモモンガにとって、この巣穴のよしあしはとても重要です。冬の間はこの巣穴に仲間たちが集い、身を寄せ合って寒さを乗り越えます。そのため、巣穴の保温性が高いことが、エゾモモンガが越冬するためにはとても大切な条件となるのです。
ただ、冬眠しないからといって、冬の間も夏と同じように生活するというわけではなく、動きが必要最小限に抑えられます。そのため、冬は活動時間が極端に短くなります。
エゾモモンガと同じく、北海道で冬眠しない“キュート系”のエゾリスは木の実を主食とするので、秋になると地面のあちこちに木の実を埋めて貯蔵し、それを冬の食糧とします。
一方、冬になると活動時間が極端に短くなるエゾモモンガは、越冬のためにドングリなどを大量に食べて皮下脂肪を増やします。そのため、体重は夏に比べると15~20%も重くなります。
体重が2割も増えるということは、人間に換算すると、60kgの人が12kg増えて、72kgになるということになります。秋のエゾモモンガは、さぞやプックリと太っていることでしょうね。
参考
帯広畜産大学:エゾモモンガってどんな動物?
知床博物館研究報告:エゾモモンガが越冬期に利用した営巣木
哺乳類科学:エゾモモンガの生態
北海道に生息する、「エゾ」がつく“キュート系”動物は、エゾリス、エゾシマリス、エゾナキウサギ、そして、本日ご紹介したエゾモモンガです。この中で冬眠するのはエゾシマリスだけで、ほかの3種類は厳しい冬を乗り越えなければなりません。10月も下旬、北海道では朝晩の気温が氷点下になる地域もみられます。人も動物も、そろそろ冬の準備をはじめる時期になりました。エゾモモンガたちも、無事にこの冬を乗り越えてほしいものですね。