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今年は、7月は記録的な多雨と日照不足に見舞われましたが、8月は一転して記録的な猛暑となるなど、寒暖の変化が大きい夏でした。この夏、皆さんは快適な自宅ライフを過ごすために、どんな家電を活用しましたか?
今回は、気温と湿度の高い日本と、気温は高いが湿度が低いヨーロッパで、夏家電の需要の高さをランキングにして比較してみました。検索データと気温の関係性から、各国の家電需要の動きを知ることが出来ます。是非ご覧ください。
日本は春夏秋冬がはっきりしていて、夏は蒸し暑く、冬は冷え込みます。この傾向は他の国でも見られるのでしょうか。こちらのグラフは、2010年から2019年における日本とヨーロッパ各国の月ごとの平均気温です。
日本の夏は、ヨーロッパ各国に比べて気温が高いことが分かります。一方で、冬の気温は各国の平均並みまで下がります。つまり、日本は1年における気温の変動が大きいと言えます。夏のイギリスはとても涼しいですね。最も暑い7月でも15℃前後までしか上がりません。これは1日の平均気温なので、日中はこれよりも気温が高くなりますが、ここまで涼しいとは驚きです。一方で、イギリスは北海道よりも北の緯度にあるにも関わらず、冬は日本と同じ程度の寒さです。スペインは日本の東北に近い緯度に位置していますが、日本よりも冬は暖かい傾向があります。これは、ヨーロッパ西側で暖かな海流が流れていることが一つの理由です。では、各国の気温と家電製品の検索数の関係を調べてみましょう。
このグラフは、日本、イギリス、ドイツにおける扇風機の検索数の推移と、気温の推移を表したものです。扇風機は、節電の効果が高く、快適さを保つことができる家電です。冷え過ぎを防ぎ、自然な風の涼しさを感じられる夏の家電の代表格ですね。比較的安価で購入できるのも特徴です。
イギリスとドイツでは、気温と検索数のピークが同月(7月)であるのに対し、日本では検索数のピーク(7月)が気温のピーク(8月)の前になっています。フランスとスペインも日本と同じ傾向がありました。
また、面白いことに、イギリスでは冬に扇風機(英語で”electric fan”)の検索数が増えることが分かりました。なぜ冬に扇風機の検索数が増えるか不思議に思いますが、これは、冬場に大活躍するファンヒーターのことを、英語で”electric fan heater”と呼ぶからですね。冬に扇風機の関心が増しているわけではありませんでした。
※下記検索データを基に解析。
データソース:Googleトレンド(https://www.google.com/trends)
上の図は、日本とフランスにおける、エアコンの検索数と気温の関係を表しています。エアコンは、猛暑には欠かせない家電です。最近では、様々なセンサーとAI(人工知能)を組み合わせた「AI自動運転制御」のモデルも続々登場しています。一度設置したら、5年~10年使い続けるような付き合いの長い家電ですね。
フランスに比べて、日本では月ごとに点が集まっている様子が分かります。例えば6月(赤い点)に注目すると、日本では点が集中していますが、フランスでは縦方向に伸びています。日本では毎年6月に同じくらいエアコンを検索しますが、フランスでは年によって検索数がバラバラということですね。これは、日本人が暦に基づいて行動をする傾向がある、とも言えると思います。
日本気象協会では、気象データを用いて商品需要の予測などを行っていますが、その際に、気象との関係の強さを指標に用いています。今回でいうと、気温の変化と検索数の増減が強く関係しているか、そうでないかというところがポイントです。ここでは、例として扇風機やエアコンの検索数について、気象と関係性の強さを、「夏の暑がりランキング」にしてみました。暑さに比例して検索数が増えれば、暑がりという事になります。
夏(4~9月)の期間の平均を分析した結果、図のようになりました。
※数値が1に近ければ近いほど、気象との関係性が強いことを表しています。
なんと、どちらもスペインの優勝でした!さすが情熱の国ですね。スペインでは、暑ければ暑いほど扇風機やエアコンに関心を示す人が特に多いことが分かります。一方で、日本は扇風機、エアコンともに下位でした。日本人は暑いからと言って、必ずしも関心を示すわけではないようです。ただ、日本でも例えば9月のエアコンの数値が0.88まで上がるなど、時期によっては、スペインのように情熱的な関心を示すときもあるようです。
日本気象協会では、気象とさまざまな商品の需要の関係を分析しており、全世界で約6,000地点の気象予測も開発・提供しています。今回は、日本とヨーロッパ4か国における、扇風機とエアコンの検索数と気温の関係を見てきました。私たちの生活にとって気象は切っても切れない関係であり、人の行動や商品の購買意欲などは、気象と非常に深く関係しています。皆さんも、気象と関係のありそうな商品を探してみてください。気象と関係の深い“意外な”商品もあるはずです。