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雨水を貯める場所を作り、貯めた雨水を有効利用するための活動を国や自治体が行っています。そのような活動の一環として8月6日が「雨水の日」に制定されました。
そこで、今回は雨水の日にちなんで、日本や世界の雨水利用についてご紹介します。
1994年8月1日から6日にかけて、東京都墨田区で雨水利用東京国際会議が開催されました。雨水利用東京国際会議では、世界における雨水利用の例や研究成果発表などが行われ、翌年の1995年に開催された雨水フェアにおいて、墨田区が8月6日を「雨水の日」にすると宣言しました。
なぜ墨田区が?と疑問に思う人もいるかも知れませんが、墨田区は古くから都市型水害に悩まされてきたエリアで、洪水防止に取り組んできました。例えば国技館が蔵前から両国に移転するときに、墨田区は日本相撲協会に申し入れをして雨水利用システムを導入しました。
これにより両国国技館の地下には1000トンの雨水を貯められるタンクが設置され、貯めた雨水をトイレの排水や冷房、散水などに有効活用しています。
さらに墨田区は区役所に1000トン、東京スカイツリー・ソラマチに2635トンの雨水タンクが設置され、2008年には雨水利用が条例化され、敷地面積が500㎡を超える住宅を開発するときには雨水タンクの設置が義務付けられています。
墨田区だけでなく全国でも、都市型水害対策として雨水を貯める施設を作り、それを有効活用するためのインフラ整備が行われています。
【参考】
墨田区|雨水利用の歴史
日本水フォーラム|雨とくらす持続的な社会に向けて
水道機工株式会社|雨水利用システム
日本では雨水を下水に流してしまうため、あまりきれいなイメージがないかもしれませんが、水資源が不足気味な海外では、雨水を積極的に利用しています。
例えばオーストラリアや中国などの雨があまり降りにくい地域では、各家庭に雨水タンクが設置され、生活用水としてだけでなく、飲用水としても利用されています。
雨水って飲めるの?と疑問に感じる人もいるかもしれませんが、子どもの頃に空に向かって口を開いて、雨水を飲んだことのある人もいますよね。雨水は自然水であり、大気中の汚れを含んでいる降り始めの雨でなければきれいで、飲むこともできます。
水不足で悩まされている地域では、降り始めの汚れなんて気にせずに簡単にフィルターにかけた程度の雨水をあたり前のように飲んでいます。タスマニアの「クラウドジュース」やアメリカの「オレゴンレイン」のように、雨水をペットボトルに詰めて売っている国もあります。
飲めるくらいきれいなわけですから、水道水と同じような感覚で利用している地域もあります。トイレの排水だけでなく洗濯やシャワーも雨水という地域は、世界で見るとそれほど珍しいことではありません。そう考えると日本がいかに恵まれているかよくわかりますよね。
【参考】
日本金属屋根協会|雨水利用 株式会社タニタハウジングウエア
雨水を有効活用するというのは海外だけでなく、日本国内でも動きが活発になりつつあります。2014年には「雨水の利用の推進に関する法律」が施行され、雨水タンクを設置するときに助成金を出してくれる自治体も出てきました。
雨水タンクの価格はそれほど高くなく、100L程度であれば1万円前後から購入できます。個人で設置する意味があるの?と思うかもしれませんが、もちろん個人でも雨水タンクを設置するメリットがあります。
・水道代が節約できる
・災害時の生活用水になる
この2つが雨水タンクを設置するメリットになります。まず雨水タンクの水を使うようになるので、水道代が節約になります。簡易的に水を貯める雨水タンクの場合、利用用途が庭の水撒きや車の洗車などに限られますが、それでも水道水を使うよりもリーズナブルで、エコです。
地震や大雨のときに水道が使えなくなっても雨水タンクに水があれば、生活用水として利用できます。洗濯もできますしトイレの水を流すこともできます。最近は自然災害が増えており、それらに備えるという意味でも雨水タンクの設置はとても有効です。
さらに多くの家庭が雨水タンクを設置すれば、下水道に流入する雨水の量を減らせるため、都市型水害対策にもなるかもしれません。
雨水タンクがなくても日常生活で困ることはありませんが、いざというときに役立つアイテムです。もしお住まいの自治体で助成金が出るのであれば、都市型水害対策に貢献するためにも、雨水タンクの設置を検討してみてはいかがでしょう。
【参考】
国土交通省|雨水の利用の推進に関する法律について