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11月3日は、もともとは明治天皇の生誕を祝う日「明治節」でしたが、1946(昭和21)年に日本国憲法が公布されたことを記念して、1948(昭和23)年に公布・施行された祝日法で「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ための国民の祝日に定められました。
本日は「文化の日」にちなみ、日本文化の楽しみ方を一部ご紹介します。
文化の日を中心に、さまざまな芸術祭や文化祭が各地で開催されています。
特に文化庁主催の芸術祭では、参加作品の中から、芸術祭賞(大賞・優秀賞・新人賞など)が選ばれます。
また、文化の日は文化勲章や文化功労者が決まる日でもあります。文化勲章は、学問や芸術などの発展や向上にめざましい功績をあげた人に授与されるもので、皇居における親授式で天皇陛下から直接授与(親授)されます。また、毎年20人ほどが選出される文化功労者には、褒賞として終身年金350万円が支給されます。
今年は以下の6名の方に文化勲章が贈られました。
甘利俊一(数理工学)
坂口志文(免疫学)
佐々木毅(政治学)
田沼武能(写真)
野村萬(狂言)
吉野彰(電気化学、ノーベル賞受賞者)
※敬称略、五十音順
授与された方たちの功績を参考に、興味のある分野の実験や制作、調理などを自宅で試してみるのもいいですね!
たとえば「葛飾北斎の良さは?」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?モネやゴッホ、ピカソ、ルノアール、ムンク、フェルメール、レンブラント、レオナルド・ダ・ビンチなど、西洋美術の画家や作風なら答えられるのに、日本の画家や作風については今一つピンとこない、という方も多いのではないでしょうか。
フランスで開催された「ジャポニズム2018」では、19世紀後半の西洋美術に影響を与えた浮世絵や日本画だけでなく、様々な日本美術が紹介され、海外における日本文化の再発見がなされました。また、近年日本でも鳥獣人物戯画や、伊藤若冲の作品が脚光を浴びていますね。
この機会に、日本美術と西洋美術の違いについて見直してみるのはいかがでしょうか?
日本美術が西洋美術と決定的に違うのは、「写実主義ではない」ということではないでしょうか。写実主義の西洋美術では、自然界に輪郭線は存在しないとするため、輪郭線はほぼ描かれません。一方、日本美術は、装飾的で象徴的なものが多く、「余白」「線」を生かした作品が多いのも特徴です。この「余白」「線」に注目しながら、作品を眺めてみるのも楽しそうですね。紙質、画材の質や画法についても、ここ千年それほど変わっていないのも面白いポイントです。
海外でも人気の長谷川等伯の「松林図屏風」、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」、尾形光琳の「紅白梅図屏風」、いずれも有名な作品です。
味わいのポイントは、「対となるモチーフ」です。躍動感と静けさ、直線と曲線、など対となる要素を見つけていくと、驚くほど緻密な構成となっていることがわかります。
いずれも、近い年代の作品でありながら、水墨画のような素朴な作風と、権力を表すような豪華絢爛な作風。それぞれ「美しさ」として成立しているのは、日本の文化や精神を背景としているからのように思います。
絵巻物のように同じ空間にストーリーが展開していく作品も、現代のアニメ文化につながる面白さがあります。様々な視点からあらためて日本美術を鑑賞すると、その奥深さに日本文化の原点が見えてくる気がします。
この期間、各地の美術館で無料開放も実施されているので、お出かけしてみてはいかがでしょうか。
(参考文献)
秋元雄史「一目置かれる知的教養 日本美術鑑賞」大和書房
松林図屏風
雷神風神図屏風
紅白梅図屏風