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日本で獲れるタラは、マダラのほかに、練り物に使われるスケトウダラ、干物に使われるコマイの3種類ですが、一般的にタラというと、マダラのことをさします。
タラは底生魚(ていせいぎょ)といって、深い海の底で暮らしています。海底はエサが少ないので、何でもガツガツ食べます。ヒラメもイカも、たまに石ころでさえ丸のみしてしまうほどです。あまりにも暴食するので、胃壁がただれたり、胃かいようになってしまうタラもいるそうです。
お腹いっぱい食べることを「たらふく」といいますが、その当て字に「鱈腹」、つまり、たくさん食べてお腹がふくれている「タラの腹」が使われています。
普段は海の底で暮らしているタラですが、冬の産卵期になると浅場に移動してきます。北海道周辺の海域では産卵期は12月~3月。タラは漢字で書くと「鱈」。「魚」偏に「雪」と書きますが、雪の時期こそが脂がのっていて、まさにタラの旬といえるでしょう。
〈参考:知識の宝庫! 目がテン! ライブラリー「鍋でうまい! タラの謎」〉
〈参考:『日本の食材帖』, 主婦と生活社, 2009年〉
タラを刺身で食べたことはありますか? タラの刺身には、あまりお目にかかったことはないのではないでしょうか。実はタラは足がとても早い(鮮度が落ちやすい)ため、新鮮なものであれば刺身で食べることもできますが、一般的には鍋料理や煮物をはじめ、粕漬けなどの焼き物、フライやムニエルなどのように、加熱して利用されることが多いのです。
タラは大型の魚で、魚体は1mを超えるほど大きいものもあるので、スーパーでは切り身で売られていますが、鮮度が落ちやすいので、北海道や東北以外では生の切り身ではなく、軽く塩をした「甘塩タラ」が主流になっています。生の切り身も甘塩の切り身もクセがなく食べやすいので、どんな料理にも向いています。特に冬の時期の鍋料理には欠かすことができないマストアイテムです。
私たちがいつも食べているピンク色のタラコや明太子は、マダラの卵ではなく、スケトウダラの卵です。1粒1粒の大きさはマダラもスケトウダラもあまり変わらないのに、なぜマダラの卵はタラコや明太子にはならないのでしょうか。
それは、日持ちがしないのと、あまりにも大きいのがその理由です。いつも見るスケトウダラのタラコに比べてマダラの卵は、一腹(ひとはら)が手のひらくらいの大きさです。これを塩やタレに漬け込むとなると、かなり扱いにくい…。ゆえに、タラコには向いていないのです。
しかし、新鮮なマダラの卵が手に入る北海道や東北では、卵を甘辛く煮付けて食べます。北海道では冬になると、マダラの卵と太めのつきこんにゃくを甘辛く煮た「子和え」をよく食べます。また、青森ではニンジンや高野豆腐などと煮付けて「ニンジンの子和え」にして食べます。このように、マダラの卵は粒自体はタラコのように小さいのですが、一腹一腹があまりにも大ぶりなため、煮付けて食べることが多いのです。
〈参考:JAグループ「青森県“人参子和え”津軽みらい女性部常盤支部」〉
11月も後半になり、日々、朝晩の気温が下がってきました。北海道では雪の便りが届きはじめ、そろそろ本格的な冬が始まろうとしています。冷え込む夜はお鍋が一番。旬のタラ鍋で温まりたいですね。