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豆腐は、それ自体ではボリュームもなく淡白で、クセになるような味でもないため、暑さの中、積極的に「豆腐」を食べる気にはならないかもしれません。冷えた豆腐に薬味をのせ、しょうゆなどをかける冷奴(ひややっこ)は夏らしい一品ですが、冷奴だけではちょっともの足りないですよね?
低カロリーで栄養価が高く懐(ふところ)にも優しいけれど、夏を乗りきるパワーに欠けるような気もする豆腐……。今回は、そんな豆腐の驚くべきパワーと、味の主張をしないからこそ味わえる、冷奴のバリエーションをご紹介しましょう。
ではまず、豆腐の種類と、その特徴から見ていきましょう。基本的に豆腐は、一昼夜水に浸してやわらかくした大豆をすりつぶし、こした絞り汁である豆乳を固めて作ります。
木綿豆腐
豆乳ににがり(凝固剤)を入れて固めたものを一度崩して、木綿の布を敷いた容器に入れ、それに圧力を加えて水分や油分を抜いたもの。しっかりとした食感とより濃厚な豆腐の味わいがあります。たんぱく質やカルシウムなどの栄養素が凝縮されているのが特徴です。木綿豆腐はくずれにくいため、炒めたり焼いたりする料理に向いています。
絹ごし豆腐
豆乳をすべて凝固させて作ります。木綿豆腐のように圧力を加えたり、水分や油分を除いたりしないため水分を含み、なめらかな舌触りが特徴です。ツルリとした口あたりの絹ごし豆腐は、冷奴や湯豆腐などに適しています。
焼き豆腐
豆腐加工品に属し、木綿豆腐を水切りしてガスや炭火などで焼き目をつけています。水切りしているため崩れにくく、だし汁や調味料などが染み込みやすいため、すき焼きなどの味の濃い鍋料理に使われます。
凍り豆腐
高野山の宿坊(寺や神社の宿泊施設)で誕生したことから「高野豆腐」、「凍(し)みる」の意味から「しみ豆腐」とも呼ばれています。豆腐を凍らせた後、乾燥させて作ることから乾物の一種とされます。栄養価が高く水で戻し、だし汁で煮込むなどして食します。
木綿豆腐は豆腐を固めた後、木綿の布を敷いた穴あきの型箱に移して脱水成型します。 この際、木綿の布目が豆腐の表面につくのが名前の由来といわれています。
絹ごし豆腐は絹の布でこしているわけではなく、木綿に対し、絹のように肌目がきめ細かく、なめらかな食感が名前の由来とされています。
「畑の肉」ともいわれる大豆。豆腐は、その大豆の豊かなおいしさと栄養を、そっくりそのまま受け継いでいます。
味も見た目も存在を主張せず、そのうえ安価で……表舞台には立ちにくい豆腐ですが、その秘められたパワーをご紹介しましょう。
たんぱく質
私たちの筋肉、臓器、骨、血液、毛髪……などを構成するたんぱく質。大豆はたんぱく質を30%以上も含んでいます(牛肉では約20%)。また、動物性たんぱく質と違い、大豆に含まれるたんぱく質は植物性たんぱく質なので、コレステロール値が高い人や血圧が高い人などが進んで食べたい食材といえます。
リノール酸
豆腐の脂質に多く含まれるリノール酸は、体内で作ることのできない必須脂肪酸のひとつです。血液中の善玉コレステロールを増やす働きがあるので、動脈硬化や血管の疾患に起因する成人病、心臓病や脳卒中などを防ぐために進んで食べたい食材といえます。
イソフラボン
女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きがあることがわかり、最近脚光をあびているイソフラボンは、大豆の胚芽に多く含まれています。エストロゲンは女性の美しさや若々しさを保つ働きがあるといわれていますが、加齢による女性ホルモンの乱れから生じる骨粗鬆症や更年期障害特有の症状を抑制したい人ほど、豆腐は進んで食べたい食材といえるでしょう。
サポニン
大豆や高麗人参に含まれる成分で、苦みやえぐみの元となるもの。大豆に含まれる大豆サポニンの大きな働きは強い抗酸化作用。体内の脂質やコレステロールの酸化(酸素に反応して性質が変わる)を抑え、血液中に血栓が生成されるのを防ぐ効果が期待できるため、おなかまわりの贅肉が気になる人は、豆腐を進んで食べたいものですね。
レシチン
大豆に含まれる大豆レシチンには、血管に付着したコレステロールを溶かして血液の流れをよくする作用があるといわれている点から、健康診断などでコレステロール値が少し高めと指摘された人は、豆腐を積極的に食べて血液サラサラ状態にしたいものですね。
古くから日本で食されている豆腐には、「スーパーフード」的な要素がありそうですね。そんな豆腐を手軽においしく食せる、「冷奴レシピ」をご紹介しましょう。
〇トマトとねぎの冷奴
【材料 (2人分)】
トマト大 1個
ねぎ どっさり
豆腐 1丁
麺つゆ 大さじ1
おろしにんにく 1片
ごま油 小さじ1
1、豆腐を好みのサイズに切って、ざく切りトマトとねぎをどっさりのっけます。
2、1に、市販の麺つゆ、おろしにんにく、ごま油のタレをかけます。
〇麺つゆとごま油の絶品ダレ
【材料 (2人分)】
豆腐 1丁
麺つゆ 大さじ1
ごま油 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
長ねぎ 10cm
白いりごま 大さじ1
長ねぎはみじん切りにして、調味料全部を合わせて豆腐にかけます。
〇豚しゃぶ冷奴
【材料 (2人分)】
豆腐 1丁
豚しゃぶしゃぶ用肉(またはこま切れ肉) 150g前後
A
すりごま、しょうゆ、酢 各大さじ2
砂糖 小さじ1
にんにく、しょうが 各一片
刻みねぎ(好みで)
1、器に豆腐を盛り、豚肉をさっと茹でて水を切り、豆腐の上にのせます。
2、Aをすべてよく混ぜたタレを1にかけます。
〇たぬき(揚げ玉)の冷奴
【材料 (2人分)】
豆腐1丁
揚げ玉 大さじ3
ねぎのみじん切り 大さじ2
麺つゆ 大さじ1
七味(好みで) 少々
1、豆腐を好みの大きさに切って器に盛り、麺つゆは少し濃い目に水で薄めます。
2、豆腐に揚げ玉とみじん切りにしたねぎ、麺つゆをかけ、好みで七味を振ります。
淡白でクセのない豆腐は、アレンジ次第でいろいろな味わい方を堪能できますが、ダイエットや健康志向の高まりから、海外のセレブの間でも豆腐の人気は急上昇中なのだそう。
最近では「TOFU(豆腐)」と呼ばれる登場人物が活躍する洋画が大ヒットしていますし、そのほかの作品でも、おなかが出た肥満体型のドジな登場人物に対して、「今日のおまえの夕めしはTOFUだな」と仲間が言うシーンもあります。この短いセリフには「TOHUを食べてダイエットしろ!」「食事や行動を自己管理して、二度とミスするな!」……というしゃれた皮肉が込められているようです。
ちなみに、欧米で「TOFU」と言えば、「ジャパニーズフードのアレね!」と多くの人に認知される食材へと成長していますが、インドネシアでは「TAHU(タフ)」、韓国では「DUBU (ドゥブ)」、フィリピンでは「TOKWA(トクワッ)」と呼ばれています。
── ご飯のおかずに、サラダ感覚で、お酒のおつまみに……。私たち日本人も自分流の豆腐の味わい方を見つけて、ヘルシーに美しく……夏らしい“和食”を楽しみたいものですね。