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ふるさとへ帰る人や、海外へ向かう旅行者によるラッシュが昨日あたりからピークを迎えているようですが、夏もあっという間に終わってしまいます。素晴らしい思い出をたくさん作ってくださいね。
さて、ちょっとした俳句の心得を毎回お送りしていますが、今回は「見るから観る」です。少し俳句に慣れてきた人が知識だけで句を作ったとしても、句会ではバレバレなことがあります。つまり自然や対象物に対して情をもって接すれば、見る目が肥えて、見えないものが観えてくるというのが客観写生であり、きらりと光る一句が生まれるのです。
俳句は単に言葉遊びだけでない、心の眼が必要なのかもしれませんね。
俳句をたしなまなくても、知っているとちょっと得意、おまけにボキャブラリーも増える、そんな古語の世界を少しだけご紹介しましょう。
俳句を完成させるためには、何度も考え直す推敲が必要ではありますが、初心者には古語はハードルが高いのかもしれません。けれども、古語を使うことで、いいたいことがいえたり、格式が上がったりもするのです。
今回は「し・す・せ・そ」の名詞の読み方です。レッツ・チャレンジ!
Q1 「静寂」 *ヒント:3文字
Q2 「下枝」 *ヒント:3文字
Q3 「東雲」 *ヒント:4文字
Q4 「殿」 *ヒント:4文字
Q5 「漁」 *ヒント:4文字
Q6 「術」 *ヒント:2文字
Q7 「背」 *ヒント:2文字(セ行)
Q8 「日照雨」 *ヒント:3文字
Q9 「背」 *ヒント:3文字(ソ行)
Q10 「某」 *ヒント:4文字
答え合わせで古語の意味を覚えよう!
全部読めた方は相当な“通”かもしれませんよ!
答えと意味は以下の通りです。
A1 「静寂」 読み:しじま
意味:静まりかえっていること。無言、黙とも書く
〈森といふ大きしじまよ寒の内〉上田五千石
A2 「下枝」 読み:しづえ
意味:下の方の枝
〈下枝より咲き上りつつ花夕べ〉永井東門居
A3 「東雲」 読み:しののめ
意味:明け方、夜明け
〈しののめや露の近江の麻畠〉与謝蕪村
A4 「殿」 読み:しんがり
意味:列などの最後尾
〈しんがりをよろこぶ家鴨なり暖か〉秋元不死男
A5 「漁」 読み:すなどり
意味:漁をすること、漁をする人
〈漁の父の小舟へ凧伸ばす〉秋元不死男
A6 「術」 読み:すべ
意味:手段、方法、てだて
〈惰性また身を守るすべか夕凪す〉草間時彦
A7 「背」 読み:せな
意味:背、背中
〈ひとやさし背に置かれし冬日また〉木下夕爾
A8 「日照雨」 読み:そばへ(そばえ)
意味:日の降っているときに降る雨
〈日照雨来ぬ島の匂ひの藪椿〉山田みずゑ
A9 「背」 読み:そびら
意味:背、背中、うしろ
〈ふるさとの山河そびらに夏痩せたり〉三橋鷹女
A10 「某」 読み:それがし
意味:わたくし。男性が使う
〈某は案山子にて候(そろ)雀どの〉夏目漱石
(参照:俳句のための古語辞典 株式会社学習研究社/広辞苑/合本俳句歳時記/俳句開眼100の名句 ひらのこぼ・著 草思社)
今回は一字で読む漢字や、同じ漢字でも読み方が違うものもあり興味深かったですね。「殿(しんがり)」などは、“行列の殿はここです!”といった使い方ができるかも!?
「かっこよくて面白い古語の世界」名詞編も半分に達し、だいぶ慣れてきたのではないでしょうか?
次回からは動詞・形容詞などワンランク上の古語もご紹介していきます。お楽しみに!