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最近では、花火大会やお祭りの屋台などで見かける従来のかき氷だけでなく、氷の種類、氷の削り方、トッピングにこだわったかき氷が人気のようです。
ちなみに、おいしいかき氷を求めて食べ歩くことを「氷活」と呼ぶのだそう。今年の夏は、ぜひ氷活をして、お気に入りの一品を見つけくださいね。
誰でも一度は口にしたことがある「かき氷」。その歴史はとても古く、平安時代に清少納言が記した随筆『枕草子』「あてなるもの(=上品なもの)」の段に、「削り氷に甘葛(あまづら)入れて、新しき金鋺(かなまり)に入れたる」との記述が残されています。
これは「金属製の器の中に刃物で削った氷に、甘茶蔓の茎の汁をかけた」ことを意味し、かき氷が特権階級しか口にできない貴重なものだったことがわかります。
かき氷が広く普及したのは明治に入ってから。明治20(1887)年に、東京製氷株式会社が設立し、人工氷の生産が拡大したことに起因します。
その後、かき氷機が開発・改良され、昭和初期になると一般の家庭に普及するようになりました。当時は、削った氷に砂糖をかけた「雪」、砂糖蜜をかけた「みぞれ」、あんこをのせた「金時」が定番メニューでした。私たちがよく口にするイチゴやレモン、メロンなどのシロップは、第二次世界大戦後に販売されました。
かき氷は、家庭で作る夏のデザートというイメージですが、実はここ数年ブームが続いており、スイーツしての地位を確立した感があります。今はどんなかき氷が人気なのか、ご紹介しましょう。
◎天然氷系
かき氷ブームの火付け役となったのが、天然氷の蔵元が提供するかき氷。埼玉県秩父郡の『阿佐美冷蔵』や栃木県日光市の『松月氷室』などが有名です。
では、天然氷作るかき氷は、何が違うのでしょうか?
天然氷は、自然の寒さだけで凍らせた氷のことで、天然水を凍らせただけではありません。2週間~20日という長い時間をかけてゆっくり凍らせた天然氷は、不純物が少なく、硬くて溶けにくい特長があります。
そのため天然氷は、
【1】氷を削る前に温めることができます(※冷蔵庫で作った氷はマイナス10℃前後で、天然氷はマイナス4℃で削ります)。
【2】細かく削ることができます。
よって、天然氷のかき氷は、フワフワで口どけが滑らかです。
天然氷の製造は非常に手間がかかるため、後継者不足が課題となっています。天然氷の蔵元は全国で7軒しかないといわれています。
◎台湾系
続いてブームを牽引したのが台湾発のかき氷。その代表格が表参道に一号店がある『アイスモンスター』です。
台湾系のかき氷の特徴は、あらかじめ練乳やシロップを混ぜて固めた氷を使用すること。さらに、氷の状態によって名前がついています。
【1】雪花冰(シュエホワビン)
カンナで削ったような薄い氷が層になったかき氷で、雪のようなフワフワの食感が楽します。
【2】剉冰(ツォービン)
粗めに削った氷で、シャリシャリとした食感が楽しめます。
【3】刀削冰(ダオシャオビン)
包丁などを用いて手で削ったかき氷。クラッシュアイスのようなザクザクした食感が楽しめます。
氷の削り方以外にも、さまざまなトッピングをのせて食べるのが台湾かき氷の特徴です。マンゴーなどのフルーツをはじめ、ゼリー、甘い煮豆など、トッピングの種類も豊富です。
── ちまたでは、氷やシロップ、デコレーションなどにこだわったかき氷専門店が続々出店しています。ぜひ今夏は、氷活でお気に入りのお店を見つけてくださいね。