6月も今日で終わり、2019年も半分が過ぎようとしています。6月22日に二十四節気の「夏至」を迎えたことで、ここからの15日間は一年で最も日が長い時季であり、早寝早起きで一日をフル活用できそうですね。

さて、俳句はよく写真や絵画に例えられますが、それも、わざわざ行く絶景ではなく、身近なものから観察する「客観写生」が大切です。「客観写生」は何気ない身近な風景から、きらりと光る素材を見つけるのがポイントだともいわれています。

俳句をたしなまなくても、知っているとちょっと得意、おまけにボキャブラリーも増える、そんな古語の世界を少しだけのぞいてみませんか?


読めると楽しい古語「か行 き・く 編」

俳句を作るには、言いたいことを伝えるために何度も考え直す(推敲)が必要です。句の格式を高め、俳句という十七文字の文学を完成させるための言葉選びの一つが、古語なのです。

古語は名詞だけでなく、動詞・副詞などさまざまなジャンルがあるのですが、まずは名詞からご紹介しています。

◆今回は「き・く」の名詞の読み方ですよ。レッツ・チャレンジ!!

Q1 「階」  *ヒント:4文字

Q2 「桔梗」 *ヒント:4文字:ききょう以外

Q3 「切岸」 *ヒント:4文字

Q4 「陸」  *ヒント:2文字:りく以外

Q5 「種種」 *ヒント:4文字

Q6 「嚔」  *ヒント:3文字

Q7 「蛇」  *ヒント:4文字:へび以外

Q8 「庫裏」 *ヒント:2文字

Q9 「厨」  *ヒント:3文字

Q10 「鉄」  *ヒント:4文字

Q11 「久遠」 *ヒント:3文字

◆答え合わせで古語の意味を覚えよう!

今回は古語ならではの読み方が多かったかもしれませんね。

答えと意味は以下の通りです。

A1 「階」 読み:きざはし

意味:階段

〈きざはしによべ(※ゆうべの意)の聖樹の星ひろふ〉能村登四郎

A2 「桔梗」 読み:きちかう(きちこう)

意味:ききょうのこと。秋の七草のひとつ。秋の季語

〈桔梗の空の広がる信濃なり〉阿部誠文

A3 「切岸」 読み:きりぎし

意味:絶壁

〈切岸へ出ねば紫雲英(げんげ)の大地かな〉 中村草田男

A4 「陸」 読み:くが

意味:りく。おか

〈鱚釣(きすづり)や青垣なせる陸の山〉山口誓子

A5 「種種」 読み:くさぐさ

意味:いろいろ。さまざま

〈古町の路くさぐざに秋の暮〉芝不器男

A6 「嚔」 読み:くさめ

意味:くしゃみのこと。冬の季語

〈嚔して円空仏と別れけり〉庄司圭吾

A7 「蛇」 読み:くちなは(くちなわ)

意味:へびの異名。夏の季語

〈畔草に乗る蛇の重さかな〉飯島晴子

A8 「庫裏」 読み:くり

意味:寺院の台所にあたる建物(庫裡とも書く)

〈花の庫裡白き襖に仕切られし〉大野林火

A9 「厨」 読み:くりや

意味:厨房。台所

〈飯蛸をめでたきものとして厨〉高野素十

A10 「鉄」 読み:くろがね

意味:鉄の和名

〈くろがねの丹田ひかる甘茶仏〉野澤節子

A11 「久遠」 読み:くおん

意味:長く久しいこと。永遠

〈堂塔の月も久遠や花会式〉水原秋櫻子

(参照:俳句のための古語辞典 株式会社学習研究社/合本俳句歳時記/俳句開眼100の名句 ひらのこぼ・著 草思社)

尾道の石段


古語はこれから学ぶ新しい日本語

今回は一文字で意外な読み方をする漢字がありましたね。おそらく授業では習わなかった読み方もあったのでは?

古語を新しい日本語としてとらえれば、新鮮な気持ちになれるのではないでしょうか。

「かっこよくて面白い古語の世界」……まだまだ続けていきます。

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 「かっこ面白い古語と俳句の世界」──〈其の五〉