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さて、俳句はよく写真や絵画に例えられますが、それも、わざわざ行く絶景ではなく、身近なものから観察する「客観写生」が大切です。「客観写生」は何気ない身近な風景から、きらりと光る素材を見つけるのがポイントだともいわれています。
俳句をたしなまなくても、知っているとちょっと得意、おまけにボキャブラリーも増える、そんな古語の世界を少しだけのぞいてみませんか?
俳句を作るには、言いたいことを伝えるために何度も考え直す(推敲)が必要です。句の格式を高め、俳句という十七文字の文学を完成させるための言葉選びの一つが、古語なのです。
古語は名詞だけでなく、動詞・副詞などさまざまなジャンルがあるのですが、まずは名詞からご紹介しています。
◆今回は「き・く」の名詞の読み方ですよ。レッツ・チャレンジ!!
Q1 「階」 *ヒント:4文字
Q2 「桔梗」 *ヒント:4文字:ききょう以外
Q3 「切岸」 *ヒント:4文字
Q4 「陸」 *ヒント:2文字:りく以外
Q5 「種種」 *ヒント:4文字
Q6 「嚔」 *ヒント:3文字
Q7 「蛇」 *ヒント:4文字:へび以外
Q8 「庫裏」 *ヒント:2文字
Q9 「厨」 *ヒント:3文字
Q10 「鉄」 *ヒント:4文字
Q11 「久遠」 *ヒント:3文字
◆答え合わせで古語の意味を覚えよう!
今回は古語ならではの読み方が多かったかもしれませんね。
答えと意味は以下の通りです。
A1 「階」 読み:きざはし
意味:階段
〈きざはしによべ(※ゆうべの意)の聖樹の星ひろふ〉能村登四郎
A2 「桔梗」 読み:きちかう(きちこう)
意味:ききょうのこと。秋の七草のひとつ。秋の季語
〈桔梗の空の広がる信濃なり〉阿部誠文
A3 「切岸」 読み:きりぎし
意味:絶壁
〈切岸へ出ねば紫雲英(げんげ)の大地かな〉 中村草田男
A4 「陸」 読み:くが
意味:りく。おか
〈鱚釣(きすづり)や青垣なせる陸の山〉山口誓子
A5 「種種」 読み:くさぐさ
意味:いろいろ。さまざま
〈古町の路くさぐざに秋の暮〉芝不器男
A6 「嚔」 読み:くさめ
意味:くしゃみのこと。冬の季語
〈嚔して円空仏と別れけり〉庄司圭吾
A7 「蛇」 読み:くちなは(くちなわ)
意味:へびの異名。夏の季語
〈畔草に乗る蛇の重さかな〉飯島晴子
A8 「庫裏」 読み:くり
意味:寺院の台所にあたる建物(庫裡とも書く)
〈花の庫裡白き襖に仕切られし〉大野林火
A9 「厨」 読み:くりや
意味:厨房。台所
〈飯蛸をめでたきものとして厨〉高野素十
A10 「鉄」 読み:くろがね
意味:鉄の和名
〈くろがねの丹田ひかる甘茶仏〉野澤節子
A11 「久遠」 読み:くおん
意味:長く久しいこと。永遠
〈堂塔の月も久遠や花会式〉水原秋櫻子
(参照:俳句のための古語辞典 株式会社学習研究社/合本俳句歳時記/俳句開眼100の名句 ひらのこぼ・著 草思社)
今回は一文字で意外な読み方をする漢字がありましたね。おそらく授業では習わなかった読み方もあったのでは?
古語を新しい日本語としてとらえれば、新鮮な気持ちになれるのではないでしょうか。
「かっこよくて面白い古語の世界」……まだまだ続けていきます。