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ビワの名の由来は、大きな葉の形が楽器の琵琶に似ているからといわれています
街路樹の中にも、ビワをみかけますが、公的に植えているものではなく、鳥などが運んできて自然発生的に育った木も多いようです。実を食すだけでなく、葉も種も薬効があるとして、昔からなじまれてきました。本日はこのビワに注目していきます。
日本では江戸中期ごろから南房総でビワ栽培が始まり、それが江戸に出回っていたようです。江戸後期になると、代官屋敷で働いていた三浦シオという女性が、唐(現在の中国)から持ち込まれたビワをもらい、その種を長崎県茂木町の自宅の庭に蒔き、大切に育てたそうです。それがもととなり、西日本を代表する品種「茂木ビワ」は広まったとのことです。
現在も、ビワの主産地は、長崎県がトップで、次いで千葉県、香川県、鹿児島県、和歌山県の5県で7割を占めています。
参考:
養命酒げんき通信"大薬王樹”の異名を持つ「ビワ」
古来よりビワの木には様々な薬効があることで知られており、古い仏教経典では「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」という名で紹介されています。
ビワの葉(琵琶葉)には咳を鎮めたり、痰を除いたり、胃を丈夫にしたり、体の余分な水分を排泄したりする作用があり、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)という漢方処方にも配合され、鼻づまりの解消や鼻の炎症を鎮めるために用いられます。
抗菌や鎮痛効果の成分もあるので、民間療法ではお茶や温灸や湿布としても使われてきました。このため、ビワの木があると病人がその葉を求めて寄ってくるから、庭木としては縁起が悪いとまで言われることもあったほどです。
ビタミン、クエン酸、ミネラル、ポリフェノールが非常に豊富なため、美肌のローションとして、その他、虫さされ歯槽膿漏、やけどなどの万能薬として、焼酎をつかった琵琶エキス(ビワチンキ)を毎年作られる家庭もあるようです。作り方は、生のビワの葉をざく切りにして35度の焼酎、葉の上にかぶるくらい入れて漬けます。約3カ月で、茶色い液がでてきたら完成です。塗布の場合は2~3倍に薄めて使用します。疲労回復や胃腸薬などとして飲用する場合は、玄米の焼酎を使用し、5~6倍に薄めて使用します。
参考:東城百合子「家庭でできる自然療法」あなたと健康社
葉の葉脈をご覧ください。たくましく脈脈として厚みがあり、立体的です。そして、秋から冬にかけて枝先に細やかな毛の生えた褐色のつぼみがたくさん付き、心安らぐ優しい香りを漂わせる可愛らしい黄白色の花が房になって咲きます。
ビワの花には、『温和』『治癒』『密かな告白』『愛の記憶』『内気』『静かな想い』『あなたに打ち明ける』といったポジティブな花言葉が与えられています。
ビワは保存しにくいため早めにいただくか、半分にカットして種ごとはちみち漬けにし、後で咳止めシロップやジュースとしていただくこともできます。種や葉にはアミグダリンというビタミンB17が含まれ注目されたため、お茶やローションなども市販のものが出回っています。
昔ながらの知恵を活用しながら、梅雨の季節、夏に備えていきましょう。