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内閣府が公開している家族や親子関係に関する調査でも、核家族化や女性の社会進出、親の仕事が多忙であること、パソコンやスマートフォンの普及でゲームやSNSに時間を費やす等が理由で、家族で過ごす時間が少なくなっていることが分かります。その調査の中で、18歳未満のこどもが親との会話に費やす時間の調査結果があり、父親との会話は週に5時間未満、母親との会話は週に10〜19時間程度というこどもが最も多かったそうです。これは、諸外国に比べても少ないのだそうですが、時代の変化に加え、文化や風土の違いがあることも忘れてはなりません。一緒に過ごす時間が他国より短くても、こどもが自分を尊重し共感してもらえたと感じ、自己肯定感が生まれる親子のコミュニケーションが取れたら、こどもの人格を重んじていることに繋がるのではないでしょうか。その方法に「傾聴」があります。
それでは、どのようにすれば「傾聴」していることになるのでしょうか。まずは、意識して「聞く」を「聴く」に変えるのが第一歩。「聞く」は自然に耳に入ってくるものを意識せずに耳が捉えていることです。別のことに身体を動かしながらの「ながら聞き」もこの類に入ります。一方で、「聴く」は自ら進んで熱心に注意を傾けて耳を働かせることです。こどもに話しかけられたら、身体をこどもに向けて、目を合わせ、ひたすらに聴くのです。できれば、こどものどんな気持ちにも、まずは同意することです。それが、まず聴くの第一歩。
仕事で疲れている上に、就寝時間までにやることがたくさんあって余裕がないという声も「聞こえて」きそうですが、これが出来ると、話を聴いてもらえた=この感情を抱えた自分を受け入れてもらえた=こどものストレス解消に繋がり、こどもの自己肯定感が増し、自然とやる気が出て、イキイキと成長していくのだそうです。
しかし、これは、こどもに限ったことではありません。例えば、職場で忙しそうな人に声をかけるのは気がひけるものですが、こちらも急務で話をしなければならない時、別の業務に身体を向けたままこちらを見ずに受け答えされるのと、手を止めて顔を向けて話を聴いてくれた時の安心感はどうでしょうか。
「聴く」という「傾聴」はあらゆる人間関係での信頼を築く為にビジネスでも活用されています。感受性の強いこどもなら、尚更に必要な「傾聴」ではないでしょうか。今日は国際こどもの日、こどもの人格を重んじる方法のひとつをご紹介しました。
出典:松本文男「子どものやる気を引き出す『聴き方』のルール〜『傾聴』で、どの子も100%変わる!〜」(2014)大和書房