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北海道のどこの庭先にも見られる身近なライラックですが、札幌に咲くライラックは、札幌の北星学園大学の創設者、サラ・クララ・スミス女史が、故郷のアメリカから持ちこんできたものが起源であるといわれています。
ライラックは涼しい気候を好み、丈夫で育ちやすいこともあって、札幌の街にたちまち広まりました。札幌にある北大植物園には、スミス女史が持参したとされる札幌最古のライラックが現存しています。
花の咲き方を見ると、4枚の花びらからなる小さな花が、紫陽花のようにかたまって咲きます。色は紫色やピンク、白、藤色など。通常は花びらが4枚ですが、ごくたまに5枚のものがあり、四葉のクローバーのように幸せを呼ぶものとして喜ばれています。
〈参考:札幌市公園緑化協会「ライラック」〉
5月の北海道は気温が20℃近くまで上がる日もあり、重いコートをやっと脱ぐ季節になります。しかし、新緑がまぶしい季節になったとはいえ、そこは北海道。ぐんと冷え込む日があり、オホーツク海側では雪が降ったりもします。
このように、ライラック(別名リラ)の花が咲く季節になったにもかかわらず、急に冷え込む日のことを、北海道では「リラ冷え」といいます。一般的には桜の咲くころに冷え込むことを「花冷え」や「寒の戻り」などといいますが、春が遅い北海道では春を告げる花というと、桜ではなく、身近なライラックが用いられるのでしょう。北海道出身の作家、渡辺淳一の作品に「リラ冷えの街」という小説があります。舞台は札幌。この時期、北海道を観光で訪れる予定がある方は、リラ冷えのことを考えると、防寒用に上着を1枚持っていったほうがいいかもしれませんね。
桜の時期が終わると気温が上がり、北海道にもようやく春が訪れます。車のタイヤも普段履く靴も夏用に履き替え、足取りが軽くなる5月中旬、札幌では恒例のライラック祭りがはじまります。
400本のライラックが咲き誇る「大通会場」では、祭りの初日にライラックの苗木のプレゼントがあるほか、野外での野点、ライラックスプリングステージ、スタンプラリーなどが開催されます。また、第50回から会場に加わった「川下会場」では、ライラックガイドツアーやコンサートなどが催されます。
第61回さっぽろライラックまつり
・大通会場…5月15日~26日
(大通公園西5丁目~7丁目)
・川下会場…6月1日~2日
(白石区川下2651番地3外 川下公園)
大通7丁目会場で催される「ライラックワインガーデン」には、道産ワインと道産グルメが大集結。200を超える道産ワインが提供され、飲み比べができるテイスティングカウンターもあります。また、ワインをよりおいしくする北海道の食も充実。北海道の爽やかな風をうけて、ライラックを眺めながら野外で味わうワインとグルメ。この日を楽しみに待っていた道産子も多いようです。
大通公園の気温と天気
川下公園の気温と天気
札幌と旭川を結ぶ特急「ライラック」は、緑色に彩られた789系0代です。なんとも北海道らしい名前のこの列車は乗車時間85分。北海道の2大都市である札幌と旭川を起点とし、雄大な自然の中を走ります。車体は観光列車のようですが、もちろんビジネスの足としても活躍しています。
1号車と6号車の先頭部には、札幌ー旭川間のほか、旭川に接続する稚内や網走方面の観光素材がラッピングされています。ラッピングされているモチーフは、旭山動物園と円山動物園の動物をはじめ、時計台、大雪山、ラベンダー、クリオネ、宗谷岬など、全24種類。どの編成に乗れるかは当日のお楽しみです。
〈参考:JR北海道「特急ライラック」〉
北海道の東部で桜が開花し、桜前線も最終地点に到達しました。北海道では桜とともに梅も水仙もチューリップも、一気に花開きます。そして、次に開花を迎えるのがライラック。ライラックが開花する5月の中旬になると気温がぐんと上がり、本格的な春の訪れとなります。新緑がまぶしい北海道の短い春、ライラックの咲く北の大地に行ってみませんか。