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平成の終わりに訪れたプチブームに「俳句」が挙げられますが、メールなどで文字を書かなくなった現代人にとって、季語を入れた五・七・五音の短い詩を書くことは、ある種、刺激的な体験なのかもしれません。
民放の芸能人による俳句番組や、第一生命のサラリーマン川柳も話題の昨今ですが、これは少なくとも俳句だけではなく、言葉の面白さに興味を持つ人が多くいるという現象なのかも。なかでも、芸能人による俳句番組で先生の添削がズバッと決まった時は、なんとも得難い爽快感を感じる方も多いのではないでしょうか。
令和の時代もこのブームが続くとよいですね。
冒頭でご紹介した番組で、先生かよく使われているのが文語や古語です。
俳句は、たった十七文字しかないので、物語や映像を入れるための言葉選びが大切です。言いたいことを伝えるには何度も考え直す(推敲)が必要であり、また句の格式を高める役割をするのが古語なのです。
俳句をたしなまなくても、知っているとちょっと得意、おまけにボキャブラリーも増える、そんな古語の世界を少しだけのぞいてみましょう!
今回は「う・え・お行」の名詞を集めてみました。
いくつ読めるかな? レッツ・チャレンジ!!
〈う行〉
Q1 「潮」 *ヒント:3文字
Q2 「羅」 *ヒント:4文字:衣服関係
Q3 「泡沫」 *ヒント:4文字
Q4 「仮寝」 *ヒント:4文字
Q5 「現」 *ヒント:3文字
Q6 「埋火」 *ヒント:4文字
Q7 「萼」 *ヒント:3文字:植物関係
Q8 「海坂」 *ヒント:4文字
Q9 「熟睡」 *ヒント:3文字
〈え行〉
Q10 「縁」 *ヒント:3文字
Q11 「魞」 *ヒント:2文字
〈お行〉
Q12 「奥処」 *ヒント:3文字
Q13 「御師」 *ヒント:2文字
Q14 「顎」 *ヒント:4文字:あごの別の言い方
Q15 「大方」 *ヒント:4文字
Q16 「面」 *ヒント:2文字:めんではありません
いかがでしたか? 今回は難しいものもあったかもしれませんね。
答えと意味は以下の通りです。
A1 「潮」 読み:うしほ(うしお)
意味:潮の干満、潮流、海水
〈泰山木咲いて潮の土佐の国〉 森 澄雄
A2 「羅」 読み:うすもの
意味:盛夏に着る絽(ろ)、紗(しゃ)などの薄絹の単衣(ひとえ)。夏の季語
〈羅を着て祇王寺に用のあり〉 後藤比奈夫
A3 「泡沫」 読み:うたかた
意味:水に浮かぶ泡。はかないものの例え
〈うたかたと文字にし書けば遠き鵙(もず)〉 中村汀女
A4 「仮寝」 読み:うたたね
意味:うとうと眠ること
〈かたい机でうたた寝して居つた〉 尾崎放哉
A5 「現」 読み:うつつ
意味:[1]現実 [2]正気 [3]夢心地
〈松風をうつつに聞くよ夏帽子〉 芥川龍之介
A6 「埋火」 読み:うづみび(うずみび)
意味:火種が消えないように囲炉裏などで灰に埋める炭火。冬の季語
〈埋火をひろぐさながら夜寒星〉 大野林火
A7 「萼」 読み:うてな
意味:花などのガク
〈北限の花のうてなのあさみどり〉 眞鍋呉夫
A8 「海坂」 読み:うなさか
意味:海の果
〈海坂をはなれて速き夏の月〉 川崎展宏
A9 「熟睡」 読み:うまい
意味:ぐっすり寝ること。快眠
〈仏間はまた熟睡の間にて冬の月〉 鶯谷七菜子
A10 「縁」 読み:えにし
意味:ゆかり、えん
〈春あさし人のえにしの絶ちがたく〉 横山白虹
A11 「魞」 読み:えり
意味:竹籠で作った魚をとる装置。「魞挿す(さす)」は春の季語
〈魞挿して近江の春のいまよりぞ〉 高田美恵女
A12 「奥処」 読み:おくど
意味:奥まったところ
〈地下工場寒き奥処に歯車あり〉 細谷源二
A13 「御師」 読み:おし
意味:神社の祈祷師
〈襖絵の鳥も囀る御師の宿〉 平畑静塔
A14 「顎」 読み:おとがひ(おとがい)
意味:あご
〈女車掌おとがひ上げぬ冬灯に呼び〉 中村草田男
A15 「大方」 読み:おほかた(おおかた)
意味:だいたい。およそ
〈鳥雲に入るおほかたは常の景〉 原 裕
A16 「面」 読み:おも(おもてとも)
意味:顔・表面
〈月の面吹き現れし朧かな〉 川端茅舎
(参照:俳句のための古語辞典 株式会社学習研究社)
いかがでしたか? 読み方はわからなくても、例句を見れば納得できる漢字もありましたね。
古文の授業が苦手だったという方も、(ふるきをたずねて新しきを知る)という言葉があるように、いまから学ぶからこそ新鮮な気持ちになれるのではないでしょうか。
「かっこよくて面白い古語の世界」まだまだ続きます。