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防災対策で一番大切なことは命を守ることですが、被災が長期に及ぶ場合は、いかに体調を維持するかが重要になります。大切なのは災害に備えた家庭備蓄です。
今回は、災害食について取り上げ、備蓄する食料品はどのくらい必要なのか、備蓄する際のポイント、オススメの備蓄方法である「ローリングストック法」についてお話したいと思います。
農林水産省によると、災害食の備蓄は、災害発生当日の1日分、行政からの公的物資などが届くまでの3日分、食料の供給が滞る場合の1週間分と、3段階で行うとよいとされています。最低でも1人3日分、できれば1週間分の食料品を備蓄しておきましょう。
また、備蓄する際は、1カ所にまとめておくのではなく、分散備蓄が安心です。割れた皿や倒れた棚などで台所に入れない、1階が浸水してしまったなど、災害による家屋の倒壊などを想定して、数カ所に分けて保管しておくとよいでしょう。
なお、災害発生当日分の備えとして、最低限の飲料水(1人1リットル)と調理不要で食べられる食料品(3食分)を非常用持ち出し袋などに入れて確保しておくことも大切です。非常用持ち出し袋は、重くて持ち歩くことができないということがないように、中身を調整してください。
◎大人1人当たり3日分の備蓄食料品の一例
水:9リットル
食料品:9食分
<主食>レトルトご飯7パック、パン1食、即席麺1個、
<主菜>レトルト食品2パック、肉・魚などの缶詰5缶、乾物など
<その他>野菜ジュース、即席スープ、チョコレート、ようかん、せんべい、ビスケット、飴など
(農林水産省 「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」より)
災害食の備蓄というと、保存期間が3年、5年と長いものや乾パン、水、缶詰などを日常の食料品とは別に保管すると考える方が多いかもしれません。そのため、気がついたら賞味期限が切れていたということも。
そうしたことを防ぐために、日常の生活の中に災害食を取り込むという考え方があります。それがローリングストック法という備蓄方法です。これは、普段食べている食品を少し多めに買っておき、食べたらその分だけ買い足して、常に一定量の食料品を備蓄する方法です。
これなら、特に保存期間が長いものでなくても、普段の食事に使える食料品(賞味期限が半年から1年程度)で十分ですから、選べる食料品も増えて、自分の好みにあったものを災害食として備蓄することができます。日常生活の中で消費することで、備蓄する食料品の鮮度を保ち、廃棄を減らすことができるため、環境にも優しい方法ですね。
具体的に何を備蓄すればよいのか、災害食を選ぶ際のポイントをみていきましょう。
①食べ慣れたものを備蓄する
普段から食べ慣れているものは、調理方法が分かっているので、災害時でも安心して食べることができます。備蓄する際は、いろいろと試食して、自分の好みにあったものを選んでおきましょう。
②野菜や果物の加工品を備蓄する
野菜や果物は自分で備蓄しないと食べられないことが多いそうです。ただ、野菜不足になると便秘や体調不良になり、病気につながることもあります。野菜ジュースや果物・大豆の缶詰、ドライフルーツやナッツ類、焼きのり、ゼリー飲料などで、ビタミンやミネラル、食物繊維を補うようにしましょう。
③使い切りサイズを選ぶ
冷蔵庫がないため、余るとゴミの処理に困ります。なるべく生ゴミが出ないように、食べきれるサイズのものを選ぶと良いでしょう。
災害食は、災害など非常事態が起こった時に食べるものですが、決して特別なものではありません。備蓄していても普段食べたことがないものは、いざという時に食べ方が分からず、役に立たないことがあります。
そのため、災害食は「できるだけ普段の食事に近い食事ができるように備蓄する食料品」であることが重要です。災害時は精神的な不安やストレスから食欲がなくなることもあります。そんな時に、ストレスを和らげ、安心感を与えてくれるものが何かを知っておくことがとても大切です。ぜひ、いざという時の備えの参考になさってください。
(参考資料)
・緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド(2014年2月農林水産省発行)
・特集1非常食(農林水産省広報誌「aff(あふ)2016年9月号」)
・今日から始める私の防災(内閣府 防災情報のページ「みんなで防災」)