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明日2月18日は、冥王星がはじめて発見された日。現在は、「準惑星」に分類されている冥王星ですが、占星術の世界では重要な星として影響力を持っています。冥王星をはじめとする、土星よりも外側にある神秘の星々「トランスサタニアン」が象徴する世界は、私たちにどのようなメッセージを発しているのでしょうか。
1930年、アメリカ合衆国アリゾナ州のローウェル天文台で、太陽系第9惑星を探すプロジェクトが進められていました。同年2月18日、天文学者クライド・トンボー(1906年2月4日 〜1997年1月17日)によって新たな惑星、冥王星が発見されます。予想をはるかに下回る15等星という暗さから、ギリシア神話の冥府の神・プルート(pluto)と名付けられました。
冥王星の直径は2,370kmと月よりも小さく、肉眼で見ることはできません。最大の衛星であるカロンの直径は冥王星の半分以上あり、そのため二重天体とみなされることもあります。
発見以来、太陽系の9番目の惑星で外惑星(地球よりも太陽から遠い軌道をまわる惑星)のひとつとされてきましたが、1992年以降、冥王星と同じくらいの大きさの外縁天体(海王星軌道の外側をまわる天体)が続々と発見されます。2006年には惑星の定義が定められ、冥王星は惑星から「降格」、準惑星に分類されることになりました。現在は、多数存在する冥王星型天体(プルートイド)を象徴する存在となっています。
2006年、アメリカ航空宇宙局 (NASA)は、惑星探査機ニュー・ホライズンズを打ち上げ、人類初の冥王星を含む太陽系外縁天体の探査を開始しました。
地球から約48億kmという途方もない距離に位置する冥王星ですが、ニュー・ホライズンズは9年半の歳月を経て到着。2015年7月14日に最接近し、詳細な観測を行いました。判明した観測データには、氷河らしきものによって侵食された険しい地形が写し出され、地下に海が存在する可能性も指摘されているそうです。2016年1月には約1年に渡った観測はすべて終了、現在その解析が進められています。神秘の星・冥王星の姿が明らかになる日を、楽しみに待ちたいですね。
冥王星を離れたニュー・ホライズンズは、今年1月には史上最も遠い、地球から60億km以上離れた外縁天体に到着したことが報告されています。
冥王星が準惑星とされた後も、占星術の世界では惑星として扱われることが多く、今も重要な星とされています。
占星術では土星よりも外側を公転する惑星は「トランスサタニアン」と呼ばれ、天王星・海王星・冥王星を指します。太陽から土星までは人間の顕在意識を、天王星から外側の星は人間の無意識の領域を象徴している、と考えられています。
冥王星は星占いの世界では、「隠された力、死と再生、欲望、エネルギー」などを象徴します。いわば、輝かしいだけではないもうひとつの強力な力の世界です。冥王星が二重天体であることも、世界には多くの秘密が隠されていて、無意識とも違う別の世界を象徴していると捉えられているのです。
冥王星は、「蠍座」と結びつけられています。その他のトランスサタニアンにあたる天王星、海王星は、それぞれ「水瓶座」、「魚座」に対応しています。天王星は「改革、テクノロジー、新しい時代、革命、突発的な出来事、流行」を、海王星は「幻想、夢、宗教、無意識、救済、悲しみ、ガス、オイル、目に見えないもの、音楽、芸術」を象徴するとされています。
占星術では、2019年3月6日に天王星が牡牛座に移動します。天王星は切り替わる「時代」を象徴する星、牡牛座は金星に支配されており、お金を司る星座です。この星の動きは、お金やものの流通の価値が変化することを予見しているといえそうです。
天王星の公転周期は約84年。過去84年で築かれた私たちの物質的な価値観や資本主義の仕組み、お金というものの支配力が、新しい時代に入っていくことの示唆と捉えられます。天文学的にも、占星術の世界でも、今年は新たな扉が開かれる予感を秘めた年といえるのかもしれません。
参考文献
石井ゆかり『星をさがす』WAVE出版 2012