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この現象は少なくとも俳句をやっている人だけでなく、俳句に興味のある人が多くいるということなのかもしれません。
なかでも、芸能人による俳句番組で先生の添削がズバッと決まった時は、なんとも得難い爽快感を感じる方も多いのではないでしょうか。
同番組で先生もよく使われているのが文語や古語。俳句をたしなまなくても、知っているとちょっと得意、おまけにボキャブラリーも増える、そんな古語の世界を少しだけのぞいてみませんか?
俳句は十七文字の世界最小文学といわれています。そこに物語や映像を入れるためには言葉選びが大切です。そこで便利なのが文語や古語。
言いたいことを伝えるたには、何度も考え直す(推敲)が必要であり、また句の格式を高める役割をするのが古語なのです。
今回は名詞を中心にわかりやすいものからご紹介します。いくつ読めるかレッツ・チャレンジ!!
Q1 「暁」 ※ヒント:4文字
Q2 「芥」 ※ヒント:3文字
Q3 「吾子」 ※ヒント:2文字
Q4 「朝寝」 ※ヒント:“あさね”の別の言い方
Q5 「朝」 ※ヒント:3文字
Q6 「逢魔が時」※ヒント:6文字
Q7 「海士」 ※ヒント:2文字
Q8 「数多」 ※ヒント:3文字
Q9 「天地」 ※ヒント:4文字
Q10 「荒磯」 *ヒント:3文字
いかがでしたか? 知っている漢字でも意外と読めないものもあったのではないでしょうか。
答えと意味は以下の通りです。
A1 「暁」 読み:あかつき
意味:夜明け前のまだ暗い時分
〈秋の声あかつき風雨強ければ〉山田みづえ
A2 「芥」 読み:あくた
意味:ごみ、くず
〈行年(ゆくとし)や芥流るるさくら川〉与謝野蕪村
A3 「吾子」 読み:あこ
意味:わが子
〈万緑(ばんりょく)の中や吾子の歯生え初(そ)むる〉中村草田男
*草田男のこの句は、万緑の季語を初めて使ったので有名
A4「朝寝」 読み:あさい
意味:あさねと同じ春の季語
〈カーテンを透けて紅(べに)くる朝寝かな〉山口青邨
A5 「朝」 読み:あした
意味:朝。朝がた。明けがた
〈あしたより玩具買ひゆく弥生かな〉石橋秀野
A6 「逢魔が時」 読み:あふまがとき(口語おうまがとき)
意味:夕方の薄暗いとき
〈寒気だつ合歓(ねむ)の逢魔がときのかげ〉川端茅舎
A7 「海士」 読み:あま
意味:漁夫(女性は海女)
〈海士の顔まづ見らるるや芥子(けし)の花〉松尾芭蕉
A8 「数多」 読み:あまた
意味:数多く。たくさん
〈復活祭神父の腰に鍵あまた〉有馬朗人
A9 「天地」 読み:あめつち
意味:天と地
〈あめつちの天なる声も夜(よ)の蛙(かわず)〉井沢正江
A10 「荒磯」 読み:ありそ
意味:岩石が多く荒波が打ち寄せる海岸
〈大王崎(だいおうざき)荒磯の海老を除夜に煮る〉水原秋櫻子
(参照:俳句のための古語辞典 株式会社学習研究社)
いかがでしたか? 学生時代は古文の授業が苦手だった方も、「温故知新」(ふるきをたずねて新しきを知る)という言葉があるように、いまから学ぶからこそ新鮮な気持ちになれるのではないでしょうか。
── 「かっこよくて面白い古語の世界」のスタートです。