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さて、詩歌の世界では昔から雪を「雪月花」のひとつとして愛でてきました。四季のはっきりした日本ならでは風情でもありますが、雪は大切な水源でもあるのです。
都心に降ると少々やっかい、でも、豊穣をもたらす“雪”。雪と六花の関係は?など、今回は“雪”に関して調べてみました。
そもそも雪とは、気温が摂氏0度以下の大気の上層で、雲中の水蒸気が凝結し氷の結晶が集まって地上に降るもの、とあり、特に日本海側の地域では冬の気象条件がもたらす雨のようなもの。けれども雨と違って堆積する雪は、雪かきなどの映像を見ても苦労がしのばれますね。
そこで、こんな質問。
Q:過去最高の積雪ってどのくらい?
思い浮かぶのは、東北地方や新潟県などの豪雪地帯と呼ばれているエリアですが、果たして?
A:日本で最も多い積雪量を記録したのは、1927年2月滋賀県伊吹山で観測された11m82㎝でした! これはギネス記録にも登録されていて、未だ破られていない世界記録なのだとか。ちなみに2位は青森県の酸ヶ湯で、2013年の566㎝だそうです。積雪量とは、これまで降った雪を合わせた高さのことで、11mはビルの4階ほどの高さといいますから驚きですね(参照:気象庁歴代ランキング)。
Q:日本で雪が降らないところってあるの?
当然、沖縄など南の島ではないかと予想しますが、本当でしょうか?
A:1971年から2000年までの一年間の雪の降った日にちの平均で最も少なかったのは、1位が沖縄県で0日、2位は宮崎県、静岡県の3日でした。
沖縄は予想通りですが、静岡は意外ですね。静岡県で雪がほとんど降らないのは日本海との間に中部山岳地帯が横たわり、寒気が箱根山で遮られるからともいわれているそうですよ。あるデータによれば、過去積雪量が一番少ないのは静岡県なのだとか……。しかし、このデータ以降の2016年に沖縄で115年ぶりにみぞれが降ったニュースは記憶に新しいのではないでしょうか。ちなみに、東京都の小笠原諸島では10年に一度くらい雪が降るそうです(参照:気象庁)。
雪に関する冬の季語として、粉雪や細雪などの種類はもちろん、雪合戦や雪だるま、雪見酒や雪見障子など多くがあります。
中でも「ろっか」と読みがちな「六花」は、雪の別名なのですが、ご存じですか?
「六花」の読みは「むつのはな」。
意味は雪の結晶の多くが六方形をしているので、このように呼ばれています。
雪の降る地域で育った、または住まわれている方は、一度はご覧になったこともあると思いますが、それは美しい形をしていますよね。では、なぜこのような形になるのでしょうか?
雪は水の分子の結合体
もともと水の分子は「くの字型」をしており、それが上空でいくつも合わさって六方形になるのだそうです。結晶は同じ形がひとつもなく、地表に降りたときに美しい形のままであるには、十分な湿度とマイナス15℃前後という条件が必要なのだとか。
雪の結晶は何種類ある?
雪の結晶は、1932年、中谷宇吉郎(なかや・うきちろう 1900〜62年)北海道大学教授が初めて写真に撮ったといわれ、その後人工的に雪の結晶を作ったことで知られています。樹枝状六花、六角板、六角柱、針状結晶の四種類が基本で、現在までに35種類あるとされています。
(参照・身近な科学・学びを遊びに/俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫)
いかがでしたか?── 言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。
今回ご紹介した「六花」は、歳時記におけるひとつの季語に過ぎません。
事実から生まれた言葉でありますが、そこには神秘的な魅力がつまっています。先ほどご紹介した中谷教授は「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残したそうです。
たかが雪、されど雪。「知って得する季語」として今度から雪の見方がかわるかもしれませんね。