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台所育児の最初のうちは、「台所仕事」ではなく「育児」や「しつけ」の時間、と思うことが大切です。そのための状況や環境をまずは整えてあげましょう。
☆ポイント1☆「ひたすら見守るべし」
手を出すのは最小限にしましょう。子どもを止める時は、本当に危険な時だけに。「危ない」などと口を出すのも、びっくりしたり恐怖心をあおってしまうので、極力控えましょう。「口はチャック、手は縛られている」気分で見守って。
☆ポイント2☆「褒めて、褒めて、また褒めて」
どんな些細なことでも、子どもができたことは褒めてあげましょう。そして「ありがとう」を忘れずに伝えましょう。ただし、間違ったことや中途半端なことでは褒めないこと。丁寧に伝えて分からせてあげましょう。
☆ポイント3☆「家族の協力を」
「危ない」などと言って、横から入ってきたりすることがないようにお願いをしておきましょう。また子どもの料理の褒め役になってもらいましょう。また、できるならば、それぞれが台所で一品、得意料理などを披露したりという機会を持ちましょう。家族みんなが台所に入ることが当たり前、という状況作りができれば最高です。
☆ポイント4☆「足元、しっかりと」
子どもの身長などに合わせた場所をセットすると、ケガをすることも減ります。作業台は、ちょうど肘が「く」の時に曲がるくらいの高さが適当です。また安定も大切です。ちょうど良い場所がセットできなければ無理に台所でやらずに、リビングなどに持ち出してセットしましょう。
台所にいよいよ入ることになったら、その前に、大切なお約束事をいくつかしておきましょう。約束の根本は「人や自分に、熱いことや痛いことはしない」です。ケガをしてしまっても、約束から外れてしまった「自分の責任」が分かるようになります。その際には、しっかりと手当てをして「次は気をつけようね」と励ましてあげましょう。
☆例☆一番始めにする約束
「包丁の下に手を置かない」「熱い鍋には触らない」
☆例☆機会を見てする約束
「包丁を置くときには、刃を自分に向けない」「包丁を人に渡すときには、刃の背を持って柄を渡す」「鍋やフライパンにものを入れるときには、いったん火を止める(やけど防止)・高いところから放り込まない(ハネ防止)」
簡単に教え始めたり、任せることができるお手伝いをご紹介します。学校で習うような料理の基本を忘れてしまっていても、「我が家流」でいいんです。親から子へ、と大切な流れをぜひ作ってください。
☆出汁取り
できるだけ同じ鍋を使うと、量の感覚ややり方などが定着しやすくなるのでおすすめです。
☆お米とぎ
ボールとザルを用意して、お米がちょうどかぶるくらいの水を入れて吸水させます。しばらくすると透明感のあった米粒がだんだんと真っ白に、そうなれば吸水完了。実験・観察のようで、小さな子でも楽しくできます。
☆野菜の皮むき
食べ物の名前や、食べれるところ、食べられないところの区別など、毎回、丁寧に教えてあげましょう。
☆さややスジ取り
☆盛り付け
☆配膳
☆後片付け
実際に始めてみると出会う場面があります。よくある場面の対処法を参考にしてみてくださいね。
☆「雑?」
子どもが雑な仕事をするときには、「真面目にやっているけれど腕が伴わない場合」と、他のことに気を取られたりして「心ここにあらず」で焦っている場合とがあります。腕が伴わない場合には、技術を丁寧に教えてあげましょう。心ここにあらずの場合には、「ゆっくり急ぐ」ことを教えてあげましょう。ただ早く済ませるよりも丁寧にやることが、結局、早く終わることを体感するよい機会です。
☆「中途半端?二度手間?」
例えば、洗い物などをお願いした時、きちんと洗えていなかったり、洗剤が残っていたり。つい、ため息が出てしまう気持ちになってしまいますが、そこはこらえて。一生懸命やった結果ならば、それ以上はまだ望まないでおきましょう。楽しいこと、気持ちの良いこと、という体験が大切です。お礼や褒めることは動機付けにつながります。そのうちに義務としての時期がきたら、「洗い物の特訓」をしましょう。注意したいことは、うまくできていなくても「役に立たなかったんだ」という思いをさせないこと。また成長段階によってゴールも変わってきますので、「大きくなったから、次のこと」「もう少し高度な技術を身につけよう」と子どもに納得させながら進めていきましょう。
☆「散らかしている?」
真面目にやっていて散らかしてしまうのは、我慢しましょう。一緒に掃除をすれば、またきれいになります。けれどもふざけて散らかしてしまうのは、素材や材料が浮かばれません。そんな時には妥協せず、即、取り上げましょう。そして存分に遊ばせましょう。その日の台所育児はおしまいになりますが、台所仕事は遊びではないので、台所に立つ心構えがだんだんとできてきます。火や刃物を扱うので、気持ちが緩んだ状態で台所に立つのは危険です。やめる際にも「まだやる」と子どもがいう場合もあります。どんなに小さくても、食べ物で遊んではいけないことをきちんと言い聞かせてから、また一緒に始めましょう。こういった「けじめ」の部分は、面倒がらずに、良いきっかけと捉えて、手をかけたり時間をかけたりしましょう。
☆「任せてみたけど…」
任せた時はずっと側にいず、近くで様子を見ていましょう。動作がのろのろしてきたり、ガチャガチャと大きな音がし始めたら、少しイヤになってきているサインかもしれません。そのようなサインが出てきたら「手伝おうか?」と助け船を出してみましょう。それでも「自分でやる」というなら尊重しましょう。子どもの自尊心の成長の助けになります。
☆「失敗?」
うまくいかなかった場合も、大抵は本人が一番によくわかっています。あまりしつこく失敗点を言うのではなく、次回どうしたらいいかを話し合ったりしてみましょう。そしてよくできた点は必ず褒めてあげましょう。
こんなことも台所育児の延長にあります。ぜひ楽しく取り入れてみてはいかがでしょうか。
☆食べながら、食材の名前を言ってみよう
☆どんな味かを言いっこしてみよう
味覚は人それぞれ、好みや印象が違ったりします。自分の感覚、と人との違いを認識できるよい機会です。
☆買い物にも参加しよう
買い物は野外実習のようなもの。食べ物の名前をテストしてみたり、鮮度の見方なども教えてあげましょう。
☆料理長体験
献立を考えて、買い物、調理から片付けまで任せてみましょう。最初のうちはスタッフとして、指示してもらったことをお手伝いする、という形から始めてもよいかもしれませんね。
参考 坂本広子の台所育児 一歳から包丁を/農山漁村文化協会