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1996年、世界から骨粗鬆症による骨折をなくすことを目標に創設され、地球規模で展開しています。
日本は世界でもトップクラスの長寿国ですが、ただ長寿を目指すだけでなく、健康で自立した生活を送れる期間をあらわす「健康寿命」を伸ばすことへの関心が高まっています。
そして、この「健康寿命」と深い関係にある骨粗鬆症……。それは、どのようなものなのでしょうか? 骨と健康、長寿……の関係を、探っていきましょう。
健康寿命は、WHO(世界保健機関)が2000年に発表した概念で、「healthy life expectancy」と表記され、「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間」を指します。
これは単なる長寿ではなく、生活の質を伴った自立した老後「quality of life(QOL)」を目標とするために提唱されました。
日本では厚生労働省が、「日常生活に制限のない期間の平均」という考えによる健康寿命を発表しています。
現在、厚生労働省が発表している健康寿命は2016年のもので、男性は72.14歳、女性は74.79歳です。一方、平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳──。
平均寿命と健康寿命の差は、それぞれ8.84年と12.35年。
つまり、男性で約9年間、女性で約12年間、健康上の問題が日常に影響する生活を送っているということになります。
とはいえ、日本の健康寿命も平均寿命と同じく世界トップクラス! また、健康寿命も年々、伸びているということです。
骨粗鬆症とは、骨の強度が低下して骨折しやすくなる骨の病気です。骨粗鬆症により骨がもろくなると、つまずいて手や肘(ひじ)をついて骨折、重度になるとくしゃみや咳……などのわずかな衝撃でも背骨を骨折してしまうことがあるそうです。怖ろしいですね。
ガンや脳卒中、心筋梗塞のように直接的に生命をおびやかす病気ではないものの、骨粗鬆症による骨折から介護が必要になってしまう例も少なくありません。
前記の統計からも、(平均寿命-健康寿命)が男性より女性のほうが長いことがわかります。つまり、男性より女性のほうが長寿ではあっても、日常生活に制限のかかる期間が長いことを示し、これは、女性のほうが骨粗鬆症にかかりやすいことなどが要因とされています。
ではなぜ、男性よりも女性が骨粗鬆症にかかりやすいのでしょうか?
最大の要因としては、女性が閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下し、急激に骨密度が減り、同年代の男性に比べ早く骨密度が低くなることだとされています。
更年期から高齢の女性に多いとされてきた骨粗鬆症が、2005年の調査では患者の約4人に1人が男性であり、骨粗鬆症を原因とした大腿骨骨折(要介護リスクが高い)の約4分の1が、やはり男性に起こっていることがわかっています。
また、女性の骨粗鬆症は加齢に関連して起こることが多いのに比べ、男性の場合、病気(糖尿病や高血圧などの生活習慣病)や薬、栄養障害などが原因で起こることの多いのが特徴。また、骨の健康に影響する喫煙や飲酒の割合は、女性よりも男性のほうが高い傾向にあります。
そして、男性のほうが体格も大きく動きも激しいため、転倒した際に強く体をぶつけて骨折や頭部の外傷を引き起こしやすいといわれます。治癒した後にも「また転んだら怖い」という思いから、家に閉じこもってしまう傾向は男性によく見られるようです。
男性の場合、60歳を過ぎた頃から危険信号が点滅、70歳を過ぎると女性のおよそ半分程度の割合で骨粗鬆症を発症、さらに80歳頃には骨量が若いときの70%ほどに低下し、男性でも骨粗鬆症を生じる人が多くなるそうです。
骨粗鬆症で骨折しやすい部位は、背骨、脚のつけ根(大腿骨近位部)、手首、腕のつけ根など。
背骨が体の重みで押し潰れてしまうことを「圧迫骨折」といい、背中や腰が曲がるなどの原因となります。圧迫骨折が生じても単なる腰痛として見過ごしていたり痛みを感じない場合もあり、骨粗鬆症が見逃されるというのは驚きですね。
また、脚のつけ根(大腿骨近位部)の骨折は要支援・要介護状態につながりやすいため、骨折の中ではもっとも注意が必要です。
そして、 1カ所骨折すると、その周囲の骨にも負担がかかり連鎖的な骨折につながりやすいといわれます。
── なかなかにあなどれない骨。骨は「身体の柱」といえるかもしれません。背骨は言わば、身体を支える「大黒柱」でしょうか? そして、この骨粗鬆症、自覚症状はないのが普通というのですから、知れば知るほど手ごわいですね。
骨粗鬆症のリスクを考えれば、年齢が若いといっても油断はできません。
【骨折以外の骨粗鬆症のサイン】
一つでもあてはまるものがあれば、骨粗鬆症の可能性あり。
・ 最近、背中が曲がってきた
・ 背が縮んだ気がする
・腰が痛い
その他、日常のこんなことも骨粗鬆症に気づくきっかけになります。
・ 食事量は少ないのに、お腹がすぐいっぱいになる
・すぐに息切れがする
・ 以前から着ていた服の身丈が体に合わなくなった
・重いものを持ったり、立ち上がるときに腰が痛む
家系に骨粗鬆症の人がいる場合、遺伝のリスクも高いそうです。面倒がらずに「まさか」と思った時には、骨密度の検査を受けたいですね。
次回は、骨粗鬆症の予防、治療、対策……についてご紹介しましょう。