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網目が入るネット系のなかでも、お手ごろ価格の「アンデスメロン」。南米のアンデス地方が原産だと思っている方も多いのではないでしょうか。
アンデスメロンは昭和52年(1977)に(株)サカタのタネが発表した、日本産の品種です。ハウス栽培ができ、病気にも強く、安価で供給できる品種なので、一般向けのメロンとして、あっという間に広まりました。
それまで出回っていた高級なマスクメロンと比べると甘味が安定しているため、「生産者が作って安心」「流通が売って安心」「消費者が買って安心」できる品種ということから、「安心です」、略して「アンデス」という名前になりました。
「アンデス」というネーミングから南米生まれだと勝手に思い込んでしまいがちですが、まさかの日本産。しかも「安心です」の略だったとは、意外な由来ですね。
「マスクメロン」は網目があり、高級感あふれるメロンです。名前にマスクが使われているのは、表面に網目状のマスク(mask)がかけられているからだと思っている方も多いと思いますが、マスクが由来ではありません。マスクメロンは香りが強いメロンで、その香りが香水でよく使われる麝香(じゃこう/musk)のように強いことから、その名がつけられました。別名はジャコウウリ。
力強い香りと、濃厚な味が特徴で、箱に入った高級メロンとしても知られるマスクメロンですが、その名前が網目由来のmaskではなく、香り由来のmuskだったとは意外ですね。
プリンスメロンは網目がなく、ツルンとしたノーネット系で、これもサカタのタネが開発した品種です。それまでは、あまりにも身近なマクワウリと、高級すぎてとても手が届かないマスクメロンしかないメロン市場でしたが、昭和37年(1962)に現れたプリンスメロンは安価で美味。当時、爆発的に世に出回り、メロンを一般の人々に広めた貢献者ともいえるでしょう。マクワウリとの掛け合わせで栽培しやすいので、昭和52年にアンデスメロンが誕生するまでは、一般的に食べられていた大衆向けのメロンでした。
発表当時、横浜の大手青果商グループ「プリンス会」に試食してもらったところ、「これはうまい!! 絶対に売れる」と太鼓判をもらったことから、「プリンス」という名前がついたそうです。名前はプリンスで皇室的ですが、価格は庶民的。そのギャップもまた売れっ子になった理由の一つかもしれません。
「クインシー」は赤肉のネット系メロンで、平成元年(1989)に発表されました。果肉が厚くてキメが細かく、色は美しいサーモンピンク、甘味が強くてジューシーなのが特徴です。
赤く美しい果肉がまるでメロンの女王のようであることから「クイーン」、そして、この赤い果肉にはカロテンがたっぷり含まれていて「ヘルシー」。この二つの言葉を組み合わせて「クインシー」となりました。アメリカのミュージシャン、クインシー・ジョーンズとはまったく関係がないのは言うまでもありません。
子どもの頃、自宅で食べるメロンといえばプリンスメロンだった、という人も多いのではないでしょうか。あの味と食感に慣れて育った人が、網目のある高級なメロンをはじめて口にした時、その美味しさと舌ざわりに、それはそれは驚いたことでしょう。今では超高級メロンから庶民派メロンまで、さまざまな品種が出回っています。何かいいことがあったら、たまには高級メロンでお祝いしてもいいかもしれませんね。
※写真はすべてイメージです。
〈参考:NIKKEI STYLE「本当? メロンの名前の意外な由来」 〉
〈参考:サカタのタネ〉