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北海道では食用の巻き貝を「つぶ」と総称します。つぶ貝はエゾバイ科の貝で、主に北海道や東北など水温が低い海に生息し、エゾボラ類とエゾバイ類の二つの種類に大きく分かれます。北海道の主に日高地方で獲れる大きなつぶ貝はエゾボラ属の巻き貝で、「真つぶ」と呼ばれています。刺身にすると、コリコリとした食感が抜群で、つぶの中でも高級品として扱われています。
つぶ貝全体の漁獲量を見ると、北海道全体では9000トンですが、そのうちの約3割(3000トン)を日高が占めています。また、漁獲金額では、北海道全体では30億円ですが、そのうちの約4割(12億円)を日高が占めています。このように、日高は北海道で漁獲量・漁獲金額ともつぶ漁の第1位を占める生産地です。
その大きさが特徴の真つぶですが、大きいものだと1kgを超えるものもあるといいます。しかし、大きくなるまでには長い年月がかかるそうです。200gに成長するためには、8年もかかるといわれていますが、1kgになるには何年かかるのでしょう。
そこで、この貴重な資源を守ろうと、日高地方では計画的に漁獲されています。たとえば、200g以下の小さい真つぶが獲れた場合はすべて放流します。また、漁獲の時期を制限し、一定の休漁期間を設けています。このような漁業者の取り組みにより、貴重な真つぶという資源が確保されているのです。
コリコリとした歯ごたえと、つぶ貝独特の甘味。そのおいしさは、アワビにも勝るともいわれます。漁師さんが「焼くのはもったいない」と言うほどに、やはり刺身が最高の食べ方です。
真つぶは身だけでなく、ワタのおいしさも格別です。新鮮なワタを醤油に解いて刺身につけると、さらにおいしさが引き立ちます。さらに、刺身だけではなく、煮たり焼いたりしても味がよいのが真つぶの特徴です。
〈参考:北海道 日高振興局「エゾボラについて」〉
〈参考:市場魚貝貝類図鑑「エゾボラ(マツブ)」〉
〈参考:北海道ぎょれん「えりも産真つぶ」「様似の真つぶ漁」〉
つぶ貝自体は北海道では身近な貝ですが、真つぶはその大きさと味から、格別なつぶ貝という位置づけです。日高地方に行く機会があったら、獲れたての新鮮な真つぶを味わってみてはいかがでしょうか。