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さて、連日の暑さで疲労困憊した体におすすめの夏野菜が、トマトです。「トマトが赤くなると医者が青くなる」「トマトのある家に胃病なし」ということわざがあるほど、栄養価の高いことで知られるトマト。年間通して手に入れることができる身近な野菜ですが、露地栽培のトマトは今が旬! 旬のトマトを食べて夏を元気に乗り切りましょう。
野菜か果物か、といった議論が行われることが多いトマト。その結論は国によって異なりますし、裁判結果や国による定義もさまざまですのであえてここでは名言しませんが、ちなみに日本の農林水産省はトマトは「野菜」とし、その中の「果菜」という分類に位置づけています。
実は16世紀のヨーロッパではトマトは「poison apple(毒リンゴ)」と呼ばれ、有毒の植物とされていました。
この「誤解」はトマトの歴史を語るうえでとても有名なのですが、そうなった背景には、いくつかの理由があります。
一説には、当時の貴族が使用していた鉛を多く含む食器にトマトを盛り付けると、酸性のトマトと食器の成分が反応して鉛が溶け出し、鉛中毒になった……。このことからトマトに毒がある、といわれるようになったもの……。
そのほかにも、トマトの実や花が同じナス科の植物で強い毒性を持つマンドレイクに似ていた……という説もあります。
しかし18世紀になると、トマトはヨーロッパで食用とされていきます。でも、毒があると思われていたトマトを食すようになったきっかけは、一体何なのでしょう。
それは、飢えをしのぐためだったり、自分の勇気を周囲に示すためだったり……とさまざまな理由があったようです。そうしたきっかけによって、トマトには毒がないことが立証され、食卓の人気者になっていくことになります。
日本では、江戸時代に日本に住んでいた外国人の要求で食用トマトを栽培するように。その後、日本人が口にするようになったのは明治以降のこと。本格的に食べられるようになったのは昭和になってからです。
実に8000超もの品種があるトマトですが、色で2種類に大別できます。
●ピンク系
日本で流通しているトマトの約8割はピンク系トマトに入ります。ピンク系トマトは皮が透明で、果肉がピンク色。甘みが強く、果肉はゼリー質の部分が多く、生でおいしく食せます。
●赤系
世界の主流である赤系トマト。皮が厚く果肉がかたいの特徴です。調理用やケッチャプ、ジュース、ピューレ、ペーストなどといった加工用に適しています。
同じ赤色に見えても、ピンク系と赤系に分けられるんですね。
また、色以外にも大・中・小の3種類のサイズによる分類もされていますので、トマト選びの参考にしてくださいね。
●大玉サイズ:150g以上の大きめのトマト
【主な品種】
桃太郎……ピンク系トマトの代表格。果肉がしっかりしていて実がくずれにくいのが特徴。
ファースト……果実の先端がとがっているのが特徴。皮が薄く、ゼリー質の部分が少ない。
麗夏……農林水産大臣賞を受賞した高品質のトマト。酸味と甘みのバランスがよい。
●中玉サイズ:40~150g前後のトマト
食べやすいサイズが人気で生産量が増えている。
【主な品種】
フルティカ……酸味が少なくて糖度が高い。皮が薄く生食に適している。
こくみトマト……しっかりとした果肉で、酸味と甘みのバランスがよい。
●ミニサイズ:40gより小さいトマト
大玉トマトより栄養価が高い品種が多い。
【主な品種】
アイコ……園芸用に人気。果肉が厚く、糖度も高い。
千果(ちか)……ミニトマトの代表格。糖度が高く、食感がよい。
◎酸素を除去する効果に期待!
トマトの赤い色素は「リコピン」という成分ですが、このリコピンはカロテノイドの一種で、βカロテンなどもその仲間に入ります。ちなみに、βカロテンはトマトの皮の黄色い色素に含まれています。
カロテノイドは体の老化、生活習慣病のもとといわれる活性酸素を除去する効果(=抗酸化作用)にすぐれた栄養素。それを大量に含むトマトは、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病や、老化やガン予防などに期待が持たれています。
◎疲労回復効果に期待!
トマトの酸味のもとは、クエン酸やリンゴ酸。それらには胃液の分泌を促進し、食欲を増進する効果に期待が持てます。つまり、夏バテにぴったりの食材なんですね!
◎ダイエット効果に期待!
リコピンは、体内で脂肪細胞が増えるのを抑制する働きや摂取した脂肪を吸収しにくくする働きに期待が持てます。また、クエン酸にも糖質の代謝を促進し、脂肪燃焼を助けてくれる効果があるといわれています。
さらに、トマトには食物繊維であるペクチンが含まれており、胃腸を整え、老廃物を体外に排出してくれる効果にも期待が持てます。
◎美肌効果に期待!
トマトは、老化を防ぐカロテノイド類に加え、皮膚を健康に保つ効果にすぐれたビタミン類を豊富に含んでいます。
トマトに含まれる主なビタミン類を紹介しましょう。
ビタミンA……粘膜を丈夫にする効果に期待
ビタミンC……コラーゲン層の生成を手助けする効果に期待
ビタミンE……血行を促進する効果に期待
ビタミンB6……皮膚の再生を促進する効果に期待
ビタミンP……毛細血管を強くし、皮膚に栄養を送る効果に期待
ビタミンH……皮下線の働きを促進し、肌荒れを防ぐ効果に期待
あの赤い果肉にたくさんの優れた効果が凝縮されていると知れば、早速、今晩のおかずに加えたくなりますね!