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「立てばシャクヤク、座ればボタン」と言われるように、その花の美しさはなんともエレガントです。
一重咲き、半八重咲きのほか、バラ咲きや半バラ咲きと呼ばれるタイプもあります。雄しべが花弁のように変化したものでは、この変化の度合いや形によって金しべ咲き、翁咲き、冠咲き、手まり咲きと多様です。本日は、そんな『芍薬(シャクヤク)』の魅力に迫ります。
風邪にお馴染みの葛根湯(カッコントウ)やこむらがえりなどにも重宝する芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)にも配合されている芍薬です。血行を良くし、筋肉の緊張をゆるめるなどの作用があるので、現代でも様々な漢方薬に配合されています。
古代の『博物誌』では、キツツキの大好物が芍薬の花だったそうで、芍薬の採集の際には、キツツキに襲われるなどの採取に苦労したエピソードが書かれています。
またギリシャ神話では医薬の神パイエオーンが、芍薬を使ってプルトンの傷を治したら、医術の神アスクレピオスがこれを妬み、パイエオーンを殺してしまいます。命の恩人の哀れな運命を悲しんだプルトンが、その姿を芍薬の花に変えたと伝えられています。
中世ヨーロッパでは、この根の首飾りが魔よけになると信じられていました。面白いですね。
豪華絢爛な芍薬をみると、この花言葉はどこからきたのか不思議に思いませんか?
実は、日本の「和シャクヤク」は、一重咲きや翁咲きなど、比較的シンプルですっきりした花形のものが多いのに対し、ヨーロッパで育成された品種は洋シャクヤクと呼ばれ、こちらは手まり咲きやバラ咲きなど、弁数が多く香りの強いものが多いのが特徴です。花びらに縁取りや斑入りなど豪華な品種も増えてきています。
日本の和芍薬は、一重で花びらがくるりと内巻きにカールしていますので、この姿が美しい女性が恥じらう姿に似ているから、『はにかみ』『はじらい』という花言葉が生まれました。夕方には花が閉じてしまうことからもぴったりですね。
同属の植物でよく似ていますが、ボタンは木本で冬も枝が残るのに対し、シャクヤクのほうは草本で冬は地上部が枯れ、地中の根や芽で冬越しする点で区別できます。また、つぼみの形は芍薬が丸いのに対し、牡丹はややとがっています。葉は、光沢がありシンプルなカーブしたものが多いのが芍薬、光沢がなく葉の形が分かれているのが牡丹です。「立てばシャクヤク座ればボタン」といわれるよう、茎から花までの距離は牡丹よりも芍薬が長く、牡丹は短いです。
最近は両方の交配による新しい品種も育成されたボタンとの交配種もつくられて、英名ではピオニーと区別されずよばれています。鉢植えや庭木としても人気で、4月~6月の見ごろのこの季節を楽しみにしている園芸家も多いのではないでしょうか?
数輪さすだけで、パッとお部屋が豪華になりそうな芍薬です。プレゼントでもご自宅用も素敵ですね。また、初夏の日差しとなり、エネルギーに満ち溢れる外に、芍薬や牡丹をみにお出かけするのもいいですね。そんな楽しい計画を胸に、今日も元気でよい1日をお過ごしください。