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旧朝香宮邸(重要文化財)は、朝香宮両殿下がパリ滞在時(1925年)に開催された、アール・デコ博覧会への訪問がきっかけとなり誕生しました。毎年開催されている「建物公開展」ですが、建物を歴史的な時間軸から再考しようとするものとなっています。本館・旧朝香宮邸(重要文化財)には、おなじみのルネ・ラリックらアール・デコの作家による調度品や内装はもちろんのこと、今回は当時を彩った衣裳や装飾品の展示もあり、ファッションの面からも楽しむことが出来ます。さらに「旧朝香宮邸物語」とのタイトルにたがうことなく、宮邸から外務大臣公邸、迎賓館、現在の美術館となるまでの歴史を縦軸に沿って知ることができます。そこに集った人、身につけていた物、過ごした時間。すべてが物語ですね。
新館のギャラリー1では、鹿島茂氏のコレクションが所狭しと並ぶ「フランス絵本の世界」展。館林美術館からの巡回展となりますが、東京都庭園美術館の展示では、アンドレ・エレの作品が追加されているのも見どころの一つです。キーワードはおもちゃ!教育普及の観点から発展した絵本ですが、アンドレ・エレはユーモアに富んだ作風が特徴で、作品のタイトルも注目したいところです。また、音楽家のドビュッシーに作曲を依頼して「おもちゃ箱」(1913年、リトグラフ)を製作していますが、その後エレは、盟友・シャルレグリとの共作によりおもちゃのデザインを手掛けることになります。「ノアの箱舟」(1922年改良)、「水車小屋」(1923年改良)、新作「散歩」は、1925年のアール・デコ博覧会に出品されました。シンプルなデザインが評価されましたが、そこにはエレが子供の想像力を信じ、遊び方を限定しないようにという思いが込められていました。エレの思いと時代の求める美がリンクしていたのですね。シンプルだからこそ想像力が沸き上がる、どこか日本の余白の美に通じるような気がします。
季節の草花がさりげなくあるのも、もとは邸宅であったこちらの庭園ならではの特徴の一つです。この春、すべての修復が完了し、茶室のある日本庭園、ピクニック気分が楽しめる芝庭、そしてついにベールを脱いだ西洋庭園、と3つの魅力が揃いました。大樹となっている緑の木陰で休むもよし、さつきなどの季節の草花を愛でるもよし。また、道路に面してオープンしたレストランは美術館を出てからも、またレストランだけでも利用することができます。(新館のカフェは美術館利用者のみ)展覧会の前後にまったりすることもできますし、展覧会はまた…今日はお散歩だけとその日の気分で楽しむことができるのも嬉しいですね。
本展覧会に関連して、さまざまなプログラムが用意されています。詳細はリンクサイトでご確認ください。
展覧会タイトル:アール・デコ・リヴァイヴァル!
「建物公開 旧朝香宮邸物語」
「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」
英文タイトル:ART DECO REVIVAL!
Walls that Talk : Stories from the Former Prince Asaka Residence
French Picture Books : Collection of Shigeru Kashima
会期:2018年3月21日(水)-6月12日(火) 79日間
会場:東京都庭園美術館
休館日:第2・4水曜日
開館時間:10:00-18:00(入館は閉館の30分前まで)
観覧料:一般:900(720)円
大学生(専修・各種専門学校を含む):720(570)円
中・高校生・65歳以上:450(360)円
*( )内は20名以上の団体料金。
*小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者一名は無料。
*第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料。