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SF映画、アクション映画、ホラー映画、怪獣映画、コメディ映画…とジャンルわけされた映画が、そのものズバリ、「ジャンル映画」です。それぞれにファンがたくさんいて名作も多数。ですが、アカデミー賞とは縁遠い映画、と言われ続けていたそうです。確かに、アカデミー賞主要部門受賞作品は、レンタルDVD店では「ドラマ」というジャンルの棚に置いてある作品が多いような気がします。歴史、文学、偉人伝などなどがオスカーを獲得しやすいとされてきました。巨匠・スティーブン・スピルバーグ監督も、パニック映画、SF映画では、なかなか受賞できず、シリアスな歴史もの「シンドラーのリスト」で、悲願のオスカーを手に入れました。数々の名作を生み出してきたマーティン・スコセッシ監督も、彼の代名詞・バイオレンス映画のオリジナル作品では受賞できませんでしたが、男臭い刑事たちの濃密な人間模様を描いた香港映画のリメイク「ディパーテッド」で、ようやくオスカーを手に。
しかし、今回の作品賞・監督賞でオスカーの栄誉に輝いたのは、半魚人が主人公の怪獣映画でありSF映画でもある「シェイプ・オブ・ウォーター」。監督はメキシコ人のギレルモ・デル・トロ監督です。一貫して、怪獣映画・SF映画・ファンタジー映画等のジャンル映画を撮り続けてきた監督です。
SF映画、アクション映画、コメディ映画…ジャンル映画の大ファンの筆者も、これからのアカデミー賞がますます楽しみになってきました。
今年のアカデミー賞は、なんといっても、避けて通れなかった話題があります。昨年、大スキャンダルとなった、大物プロデューサーのセクハラ問題です。また、大きく影を落としていたのは、世界中に門戸を開き国籍など関係なく素晴らしい才能を受け入れてきたハリウッドの映画界と相反する新大統領の政策です。
映画界だけは、そんなハラスメントや差別には屈しないという、たくましくエネルギッシュな今年のアカデミー賞授賞式は、世界中に多くの感動を与えたのではないでしょうか。脚本賞を受賞した、黒人青年が主人公の「ゲット・アウト」はシリアスな差別問題を描いていながら、笑えて、怖い、今までになかった斬新なホラー映画です。脚本賞にノミネートされた「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」はパキスタン系アメリカ人の青年が主人公の恋愛コメディ映画です。長編アニメ賞を受賞した「リメンバー・ミー」はメキシコが舞台です。今までは、ヒットしないのでは?と言われ、企画すら通らなかったと言われる地味なジャンル映画やマイノリティーが主人公の映画が次々とヒットを飛ばし、多くの部門でノミネートされ、オスカーも獲得しました。
セクハラ問題では、主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドさんの力強いスピーチが、世界中の女性たちに勇気を与えてくれました。彼女のナチュラルに年を重ねた自然体の装いも印象的でした。
監督賞を受賞したメキシコ人のギレルモ・デル・トロ監督。彼は幼い頃から日本の怪獣映画やテレビアニメが大好きで日本から遠く離れたメキシコで、親しんできたそうです。「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した日本人アーティストの辻一弘さん。同作品で、主演男優賞を受賞したのは、イギリス人俳優のゲイリーオールドマン。
世界中から国境を越え、才能豊かな人々が集まる映画・芸術の都ハリウッド。そこで作られる映画やテレビドラマ、ショービジネス…が面白くないわけがありませんね。
さぁ、暖かくなりお出かけ日和になるこの季節、アカデミー賞関連作品を観に行きませんか。
主なアカデミー賞関連作品
<作品賞監督賞受賞>
⚫︎「シェイプ・オブ・ウォーター」:公開中
<作品賞ノミネート>
⚫︎「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」:公開中
主演男優賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞
⚫︎「スリービルボード」:公開中
主演女優賞・助演男優賞受賞
⚫︎「ゲット・アウト」:DVD、4/11発売予定
脚本賞受賞
⚫︎「君の名前で僕を呼んで」:4/27公開予定
脚色賞受賞
⚫︎「ファントム・スレッド」:5/26公開予定
⚫︎「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」:公開中
⚫︎「レディ・バード」:6/1公開予定
<長編アニメ賞>
⚫︎「リメンバー・ミー」:公開中