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神父と牧師の違い。どちらもキリスト教の聖職者でしょ?とイメージする方が多いのですが、両者には明確な違いがあります。
基本的な違いは、教派の違いなのですが、さらには……
●「神父」はカトリック教会、または正教会、東方正教会の聖職者
●「牧師」はプロテスタント教会の聖職者
注意したいのは、牧師は正式な職名でもあるのに対し、神父は尊称です。正しくは司祭といいます。ちなみに牧師を先生と呼ぶこともあります。
神父も牧師も、どちらもキリストの教えを伝えるのが主な仕事です。しかし、その立場は異なります。
例えばカトリック教会の中では大主教、長司祭、司祭、輔祭の序列があり、その中のひとつの役職として司祭(神父)があります。聖職者である立場からも一般の人々より上の立場に位置し、信者をとりまとめ、布教活動に従事しています。
一方、牧師は一般の人と立場は対等です。もちろん教会のさまざまな仕事はしますが、それ以外はほかの人と変わりません。牧師の場合は、聖職者というより教職者と考えたほうがわかりやすいかもしれません。
さて、神父という言葉は、もとは中国語に訳された言葉を日本で用いていたもの。そのため神父の「神」という字は、いわゆる「神様」ではなく、「精神」や「霊魂」といった意味で使われています。
神父が「神様の父」という意味にとられないよう、さらには誤解を避けるために「霊父」という言葉もあるのですが、一般的にはあまり定着はしていないようです。
牧師という言葉は、新約聖書の中でキリストが自らを「羊を飼う牧者」に例えたことに由来しています。
かつて羊は、牧夫(羊飼い)によって放牧されることが一般的でした。転じて、牧師には「過ちを犯してしまいやすい羊(人々=民)を先導する」といった意味合いがあるようです。「牧(ぼく)する」という言葉もありますが、牧師という文字が「牧」と「師」で成り立っていることからも、その意味がなんとなく類推できますね。
牧師になるためには、聖職に就く者を「按手」によって聖別し、任命する儀式「按手礼(あんしゅれい)」が必要です。ここでいう「按手」とは、祈りとともにその人の頭に手を置き,霊的な力が与えられるようにする儀式のこと。
また以前は、信者の中から牧師を選ぶといったこともありましたが、現在では神学校などで学んで牧師になるのが一般的なようです。