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「41歳の春だから…」
いつも鉢巻き、肌着・腹巻き・ステテコ・雪駄、という自由なお決まりのスタイルで「これで、いいのだ!」と、ゴーイングマイウエイなバカボンのパパ。かわいいママと、バカボンとハジメちゃんを養う一家の大黒柱(?)です。彼は歌で唄っている通り、41歳。
サザエさん一家の大黒柱はマスオさん、いえいえ、まだまだ現役サラリーマンの波平さんです。彼は54歳、そして彼の妻、いつもきちんと髪を結い上げ、和服に割烹着スタイルの昭和のお母さん・フネさんは、52歳の設定だそう。
皆、高度経済成長期を支えた世代。現代の40代〜50代と較べると、とても落ち着いた印象です。バカボンのパパは、落ち着いてはいませんが、あの独特なファッションスタイルで41歳より年上に見えます。
この2本の、国民的アニメが大ヒットした1970年代当時は、彼ら登場人物は等身大で年齢相応だったのでしょう。約40年の月日が流れ、日本人の平均寿命は当時より、約10歳近くも飛躍的に伸び、今や世界有数の長寿国となりました。
現代の日本人は一昔前より10歳若返ったと言われ久しいですね。平均寿命が伸びた分、見た目年齢やカラダ年齢も若返ったのかもしれません。
でも、このまま、「アンチエイジング時代」が進むとどうなるのでしょう。日々、若返りの薬や、シワを消す(!)美容品の研究開発は進み、なんだか「老いる」ことが許されない世の中になってしまうような…ちょっと怖い気もしますね。歳を重ね「老いる」ことは決して悪いことではありませんよね。
筆者は、随分前にバカボンのパパより年上になり、フネさんと同年代になってきました。いつまでも若く見られたい、健康でいたい…という大それた野望もありますが、フネさんの、まわりを優しく包み込み頼りがいのある大人の女性の存在感を全く身につけていない、自分の精神年齢の低さにも愕然としてしまいます。見た目年齢と精神年齢が合致しているフネさんや波平さん。実年齢と精神年齢がかけ離れている現代人。どちらが進化した、成熟した大人なのでしょうか?ちょっと考えてしまいますね。これからは、見た目&カラダ年齢は若く、精神年齢は高く…そんな高度な「アンチエイジング」の時代がやってくるかもしれませんね。
ちなみに、サザエさんは24歳、マスオさんは28歳、マスオさんの同僚・厚いくちびるが印象的なフグタさんは27歳の設定だそうです。みんなしっかりした20代ですね。
卒業式シーズンが近づくと、よく耳にする、海援隊の「贈る言葉」。海援隊のメンバー・武田鉄矢さんが主役をつとめた大ヒットドラマシリーズ、「3年B組金八先生」のテーマソングです。ドラマの放映がスタートしたのは、1979年。武田鉄矢さんは当時30歳でした。センターパーツのロングヘアに地味なツィードジャケット、大きなショルダーバッグを肩から下げた「先生スタイル」の金八先生生も今見るとやはり実年齢より年上に見えます。でも生徒達の為に日々東奔西走、熱く語る金八先生もやはり現代人より成熟した、頼りになる30歳です。興味深いのが、演じた武田鉄矢さんは現在68歳、若々しいですね。彼自身が実年齢より上に見える、という訳ではないのですね。
そもそも、その年代の人物の年齢を現代に置き換えて較べる事がナンセンスなのかもしれませんね。時代時代で見た目年齢の基準が変わっているのですから。
「若さ」にこだわり、アンチエイジングに、ついつい躍起になってしまう(筆者も必死です)現代人。見た目年齢などにはこだわらず、おおらかに自然に歳を重ねているように見えるバカボンのパパやサザエさん一家、どちらが幸せに歳を重ねているのか…ちょっと年度末が近づく今の時期考えてみたくなりました。