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お正月は、年神様を迎えるとき。年神様とは、農耕の神様であり、ご先祖様だとされています。その昔は恵方に向けて年棚を作って、お節や鏡餅を供える風習があったそう。神様の寄り代となる松や鏡餅などのお供えものは、今も守り継がれています。
元旦の早朝に、川や泉、井戸などの水を汲み、神に備えることを「若水」といいます。汲むのは年男の役割だったり、主婦の役割だったそうですが、まだ暗いなか人に会わないうちに密かに汲みに行ってきた若水は、邪気を除く神聖な水。お雑煮を炊いたり、大福茶を入れたり、口をすすいで清めたりして、その力を体内に摂り込むことで一年の無病息災を祈ったのです。
ちなみに大福茶(おおぶくちゃ)とは平安時代を発祥とした、正月元旦にお茶を飲む習わしのこと。黒豆や昆布、梅干などが入ったものなど、様々な福茶が主に関西で市販されています。一年の邪気を払い新年を祝福するために、お正月には花びら餅とともにお茶を一服。というご家庭も多いことでしょう。
健康長寿を願いつつ薬効のあるお屠蘇を家族で酌み交わしいただくのは、お正月の主食・お雑煮とお節料理です。年神様にお供えするお節料理の一品一品にはいわれがあり、言魂が宿るその名には、多くの祈りが込められいます。
腰が曲がるまでの長寿を願う海老、マメに働けることから健康長寿を願う黒豆、子孫繁栄のカズノコ、紅白でおめでたいなます、五穀豊饒を祈る田作りなど、その意味合いを子供に教えながらいただくのも一興です。
また、お雑煮は、年神様に供えた餅を若水で煮た料理。このお雑煮ほど日本の食文化の奥深さを表した料理もないといえるほど、その多様性には目を見張ります。
もともとは、中国由来の雲呑スープを日本流に解釈したとも言われ、アワビのスープに日本古来の縁起物の餅を入れたのが始まりなのだとか。大晦日に供えた神饌を元日の朝にさげて、その土地でとれる野菜や魚などを一緒に煮て家族で食す風習から、全国に様々なお雑煮が誕生したとみられます。
餅は四角か丸か、焼くのか焼かないのか、すましなのか味噌仕立てなのか、調理法も具材も多趣彩々。元旦は家の伝統的なお雑煮にして、2日以降は各地のお雑煮に日替わりで挑戦するのも、楽しいお正月の過ごし方かもしれません。
地域の氏神様や菩提寺に参拝するのが、江戸時代に広まったとされる「初詣」のもともとの習わし。昨今は名高い神社仏閣へお参りすることも、ごく一般的になってきています。
また、その年の恵方にある寺社に参拝すると幸運に恵まれるといわれていたことから、恵方へ赴く初詣も人気が高かったそうです。ちなみに恵方とは、年神様が位置する方位のこと。毎年変わることも、最近では恵方巻で知られてきましたね。平成30年は南々東。どこへお参りするか迷うなら、恵方にある場所へ行ってみるのもいいですね。
参拝後におみくじをひいたなら、ぜひ持ち帰ってお守りに。迷ったときや困ったときなど折々に読み返すと、役立つことも多いものです。凶を吉に転じたい場合は、その場で結びましょう。