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「一年間、今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします」
そんな気持ちを込めて贈るお歳暮。「歳の暮れ」と書くその言葉通り、12月の初めから25日くらいまでに相手に届くように送ります。
ただ関西では12月も中旬に差しかかる13日ごろから25日ごろが目安ともいわれています。こうした時期はそれぞれの地域によっても異なりますが、届け先の慣習に合わせます。
また、他家に嫁いでいった娘や分家が、お正月用のお供えを本家に届けた風習がお歳暮の由来となっているため、そのせいか、お歳暮にはお正月に食べるものなど、保存ができる食料品や調味用などを選ぶ人が多いようです。
さて、お歳暮を贈る際に、その箱には熨斗(のし)紙を巻きます。
この熨斗紙の「のし」は、もともとアワビを干したものが使われていました。栄養価も高く、干すと長持ちするアワビは、長寿を表す食べ物として、古くから縁起のよいものとされてきたことによります。
今では簡略化されて、絵にかいた「のし」を印刷して使用される場合がほとんどですが、アワビそのものが生ものであるという理由から、肉や魚というように生ものを贈る場合、「のし」はつけずに水引だけにするのがマナーとされています。
お歳暮は一年の感謝の気持ちをこめて贈ることから、贈る品は夏のお中元と比べてもやや高価なものを選ぶ傾向があるといわれています。そんな贈り物の中でも人気が高いのが新巻鮭です。
「あらまき」の起源については、「鮭(さけ)」が「裂ける」に通じるため、縁起を担ぐためにワラで巻いて贈るようになったという説など、諸説あります。塩漬けにした魚をワラなどで包み保存したのがその起源で、室町時代より以前は鮭だけでなくさまざまな魚が用いられていました。「新巻」という漢字があてられるようになったのは、明治時代に入ってからと考えられています。
新巻鮭が現在のように冬の贈答品として贈られるようになったのは江戸時代。その発祥の地とされているのが、岩手県大槌町です。
江戸時代のはじめ、この辺りを治めていた大槌孫八郎政貞が特産のサケを保存するため、今の新巻鮭を開発したといわれています。大槌氏の新巻鮭は江戸に送られ、「南部の鼻曲がり鮭」と呼ばれ珍重されました。
さて、2017年はこの新巻鮭の祖、大槌孫八郎政貞の没後400年の節目の年。12月3日には大槌魚市場を会場に「おおつち鮭まつり」が開催されます。
「鮭つかみどり」や「新巻鮭づくり体験」など、新巻鮭発祥の地ならではの催しも予定されています。