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屋根がフラットになっている最近の四角い住宅は気密性が高いので、昔のように玄関が凍りつくことはありませんが、ひと昔前の住宅だと、特に気温が下がった朝などは、玄関が凍って開きにくい、ということがよくありました。そんな悩みを解決してくれたのが玄関フードです。昭和50年代ごろから広まり、昭和の時代に建てられた住宅には必需品となっています。
玄関フードの正式名称(?)は「風除室」。外の冷たい風から玄関を守り、中の温かい空気が逃げるのを防いでくれます。このガラスが1枚あるかないかで、玄関の寒さがまったく違ってくるのです。
北国では吹雪になると、風向きによっては家の壁に雪がへばりついて、壁が真っ白になってしまうことがあります。そんな風雪が玄関に向かって吹き、しかも気温が低くなると、瞬く間に玄関の戸が開かなくなってしまうことがあります。
また、朝起きたら雪が30cm以上も積もっていて、雪かきをしなければ道路に出られない、ということがあります。ところが、覚悟を決めて「さあ、雪かきだ!!」と思っても、除雪用のスコップが外に置いてあると、そこまで取りに行くことすらままならないことがあります。そんな時のために、玄関フードの中に除雪グッズを入れておくと安心です。戸を開けてすぐ除雪をしながら、雪をかきかき、門まで進むことができます。
あまりにも雪が多くなると、物置が雪でふさがれて使えなくなることもあります。そんな時に活躍する(?)のが玄関フードです。ジャガイモやキャベツなどを保存したり、漬け物樽を置いたりすることができるので、とても便利です。
宅配のヤクルトや牛乳などのボックスも玄関フードの中に入れておくことができます。外にボックスを置いておくと雪で埋もれてしまうことがありますが、玄関フードの中にあると、配達する側も配達される側も安心です。新聞などもフードの中に配達してもらうところも多いようです。
また、知り合いが何かを届けてくれるというのに留守にする場合などは、玄関フードを開けておけば、フードの中に置いておいてもらえます。そんな時の合言葉は、「フードに置いといて~」。フードを開けておいても、玄関そのものの鍵をかけて出かけるので、心配ありません。
玄関まわりに食料品が置かれているのはちょっと…、と思われるかもしれませんが、特に漬け物の場合は、外に置けば凍りついてしまう、かといって家の中の比較的寒いところだと、発酵が進みすぎて酸っぱくなってしまう。そう考えると、物置が使えないときは玄関フードの存在はありがたいのです。家の中に入るまでに、扉を2回も開けなければならないのは面倒くさいですが、北国の暮らしにとって、玄関フードはなくてはならない存在なのです。