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酉の市(とりのいち)の由来や発祥については諸説ありますが、はじまりは足立区にある鷲神社のお祭り……が定説です。足立区といえば当時は江戸のはずれの農村地域で、酉の市には収穫祭といった意味合いもありました。それが時代とともに、浅草などより多くの人が集まる場所に移りました。
市が盛大に開かれた地域では、賭博や遊郭遊びなどその土地ならではの“大人の楽しみ”もありました。むしろ、堂々とそうした遊びに行くために、市を口実に出かける人も多かったそうです。
酉の市といえば、熊手が有名です。
もとが農村でのお祭りだったということもあり、酉の市では農具などが売られていたのですが、なかでも特に熊手が「幸せをかき集める」といったことから時代とともに縁起物として売り出されるようになり、現在に至っています。
収穫後の藁(わら)でしめ縄を作って飾るなど、農業に従事する人にとって、酉の市の熊手は農閑期の収入源といった意味合いもあったのかもしれません。
ちなみに熊手という名前の由来は、その形が熊の爪に似ているからと思われがちですが、実は西日本で松の葉を「こくま(こくば)」と呼んだことから「こくまかき(こくばかき)」となり、これが「くまで(熊手)」の語源になったという説もあります。
まず、大切なのが大福帳です。お金を後でまとめて払う「掛け売り」が基本だった江戸時代、売掛の詳細を記入した大福帳は、商家にとっては非常に大切なものでした。
そしてお金。金色に輝く小判や千両箱と、お金その物をダイレクトに飾る大胆さ。いかにも金運、商売運がアップしそうです。
さらに七福神と宝船、打ち出の小づち、米俵、鯛なども、富の象徴として飾られます。このほか鶴と亀、松竹梅、当たり矢など、縁起のよさそうなものはどんどん取り入れられています。
ちなみに、熊手の中央を飾る“おかめ”(女性のお面)は、日本最古の歴史書『古事記』や『日本書紀』にも登場する芸能の神様、アメノウズメ(アマノウズメ)に由来しているといいます。
別名、“おたふく”とも呼ばれ、不美人を指す言葉としてかつては女性をからかう時に使われていたこともありますが、ふくよかで、あいきょうのあるその笑顔は、いかにも幸せを運んできてくれそうです。
ただ、この“おかめ”を飾るのは関東流で、関西では恵比寿様や大黒様が飾られることが多いようです。また、関東では熊手の爪が内側を向いているのに対し、関西では爪が外側を向いている。つまり、熊手の背の側に飾りがついているそうです。