- 週間ランキング
かつて養蚕が盛んだった時代は、養蚕で生計を立てている家庭が多く存在しました。収入源として養蚕は貴重なものでしたが、一方で、養蚕農家を困らせる「天敵」の出現に頭を悩ませるところも多かったといいます。
実は、その「天敵」が「ねずみ」だったのです。ねずみは蚕が大好物。卵であろうが、幼虫であろうが構わず食べてしまいます。そんなねずみの存在は、養蚕農家の人々にとって大きな悩みどころだったのです。
そんなところに現れた救世主が「猫」だったのです。そう、ねずみの敵といえば猫ですよね。
ねずみを食べてくれる猫は養蚕農家にとっては、まるで神様のような存在だったため、養蚕が盛んだった時代にはおのずと、猫の像や碑が神社に奉納されるように。
そして時が経ち、養蚕業が盛んな時代はもちろん下火になってからも、猫は福を呼ぶ「招き猫」として人々に大切にされていったのです。
いろいろな招き猫を見比べてみると、足の上げ方に違いがあることがわかります。実は、この足の上げ方によって、招き猫に招いてもらいたい「福」の内容が異なるのです。
■ 右足 ➡「金運」を招く
■ 左足 ➡「人(客)」を招く
一見どれも同じポーズのように見える招き猫ですが、上げている足によって意味が違うことがわかります。
では、両方上げてしまえばいいじゃないかと思う方もいらっしゃることでしょう。
でも、両足上げている招き猫は「お手上げ」のポーズに見えることから、ご利益がないといわれています。あまり、欲張ってはいけないということでしょうね。
さらには、足の高さによっても意味が違うようです。
■ 足を高く上げているもの ➡ 少し先の大きな福を招く
■ 目の位置くらいの低いもの ➡ 近々起こる小さな福を招く
こうしてあらためて違いを見てみると、招き猫の人形にはいろいろな意味が込められていることがわかりますね。
一般的に多く見られる招き猫は「三毛猫」がモチーフとなっていて、白がベースとなり黒と茶色が少し混じっているものが多いのですが、招き猫の多くが三毛猫であることにはきちんとした理由があったのです。
さらに、色によってもご利益の違いがあるというのをご存じですか?
例えば、代表的な色はこのようなパターンです。
■ 白(三毛猫)➡ 広く福を招く
── こちらはオスをモチーフにしています。オスの三毛猫は1000匹に1匹くらいの確率でしか生まれない貴重なもの。そのため、古来より福を呼ぶ貴重な存在とされてきました。
■ 黒 ➡ 魔除け
── 黒い猫は夜でも目が見えるといわれ、魔除けとしてのご利益があるとされています。
■ 赤 ➡ 無病息災
── 赤は麻疹や疱瘡(ほうそう)の神が嫌う色とされてきたため、病を除ける無病息災のご利益があるとされています。
最近では、カラフルな招き猫も登場するようになり、「良縁を招くピンク」や「選挙で票を招く豹柄」なんていうものもあるようですよ。
商売繁盛を願って置かれることが多い招き猫ですが、様々なご利益を生んでくれる存在として、自分に合った招き猫を選んで家庭にひとつ置いておくのもよいかもしれませんね。