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太陽が黄経135度の点を通過し、今年も二十四節気「立秋」となりました。暦便覧を紐解けば「立秋」とは、「はじめて秋の気立つがゆえなればなり」とあります。ますます厳しい残暑の中にありながらも、“秋の気”が“立つ”ということは、秋の気配が現れてくるということ。力強くわく積乱雲に、鱗雲とも鰯雲とも言われる巻積雲がときおりまじり、蝉の鳴き声に蜩の声が加わり、朝晩吹く風にふと涼を感じることも、これから次第に増えてくることでしょう。七十二候でも「立秋」の初候「涼風至(すずかぜいたる)」となりました。
しかしながら温暖化著しい昨今の夏は、高温と激しい雨、台風にも配慮が必要に。気温が1度あがるたび、空気が抱えることができる水蒸気量は、7%ほど増えるのだとか。気温が上昇すると、抱えた水蒸気が雲や水滴になりにくい。しかしいざ飽和すると、一気に激しい雨になるというわけです。毎日のようにさっと降る夕立があって、その一雨で涼しい風が立つ…そんな夏の風情は、残念ながら失われつつあるようです。
新暦となった現在でも、お盆だけは旧暦(8月13~15日)のほうが馴染み深い地域も多いですね。夏休みを迎え、そろそろお盆も間近。ご先祖さまの御霊(みたま)を迎えるために供える花、「盆花」の準備もはじめたいところです。
地方によって様々ですが、全国的に代表的だとされる花は、ミソハギ、オミナエシ、キキョウ、ハス、ハギ、ユリ、ホオズキ、ナデシコ、ススキなど。これらの花はちょうどお盆の頃に山野で花開き、ハスを除くと野生の草花が多く、昔は8月6日頃~12日頃までの間に、山へ採りに行くという風習もあったよう。この行事を盆花迎えといい、精霊たちが盆花を依代 (よりしろ) として家々へ帰ってくるとされていたのです。
今は花屋で買い求めることが多くなった盆花。その代表格のミソハギはマメ科のハギの仲間ではなく水辺に生える草で、高さは1メートルほど。夏に茎の先に赤紫色の花穂をつけます。名の由来は、「水辺のハギ」。もしくは「禊(みそぎ)ハギ」。神域を掃き清めた「ハギ」、水辺で行われた「禊」。帰ってきた御霊を、このミソハギで禊させ、清めてから自宅へ招き入れる意味合いを持っていたのでしょうか。
さて、お盆といえば「盆踊り」。これはもともと、年に一度戻ってくる精霊たちを迎え慰め、送るための踊りであったといわれています。郡上八幡をはじめ会津若松の東山温泉など、各地で様々な盆踊りが開催され、地域の広場や寺の境内などで、毎年踊るのを楽しみにしている方も多いことでしょう。有名な徳島の阿波踊りもこの盆踊りの流れをくむもので、毎年8月12日~15日までの4日間、三味線、笛、太鼓、鉦などのお囃子が響き、身も心も躍る独特なリズムに、街中が沸き立ちます。
「連」と呼ばれる数十名からなるグループごとに、お揃いの浴衣を着て街中を練り歩く阿波踊り。“踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん”と歌詞にあるように、踊り方がわからなくても、祭り当日に入れる「にわか連」があって、初心者でも参加可能なのだとか。本場徳島で阿波踊りを体験する。そんな夏の過ごし方も一興です。
真夏の時季はまた、花火大会のシーズン。浴衣を着て、団扇や扇子で涼みながら、夜空に咲く大輪の花を見つめるのも、江戸時代から続く日本の夏の風物詩ですね。