- 週間ランキング
世界的にも著名なアメリカの建築家、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)は今から150年前、1867年6月8日にアメリカ合衆国のウィスコンシン州に生まれました。
チェコ、ブルノにあるトゥーゲントハット邸で有名なルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、上野の国立西洋美術館本館の設計でも知られるル・コルビュジエと並んで、近代建築の三大巨匠といわれています。
「東洋の宝石」とも称された帝国ホテルの「ライト館」や、国の重要文化財にも指定されたヨドコウ迎賓館を手がけるなど、私たち日本人にとっても、最もなじみの深い建築家の一人です。
ライトの人生をたどると……、道ならぬ恋におち、一時期は仕事も家庭も捨ててヨーロッパにわたったり、また痛ましい事件に巻き込まれ家族を失うなど、人生の大きな波に翻弄され、その名声が地に落ちた時期もありました。しかし、70歳くらいから再び代表作ともいえる作品を世に出し、世界の耳目を集めることとなります。
さて、フランク・ロイド・ライトがスキャンダルで苦しんでいた時期、設計の依頼をしたのが、帝国ホテルでした。帝国ホテル初の日本人の支配人であった林愛作が、かつてアメリカで古美術商を営んでいたころから親交のあったライトに、新館の設計を任せたのです。
完璧主義者であったライトのこだわりにより、工期は大幅に遅れ予算も超過。結局、ライトは完成を見ることなく日本を離れましたが、その思いは日本人の建築家、遠藤新に受け継がれ、1923年に4年の歳月をかけて完成した帝国ホテル新館、通称「ライト館」が開業しました。
ライトに「ライト館」のデザインのインスピレーションを与えたのは、1893年のシカゴ万博で、平等院鳳凰堂をモチーフに日本人の大工によって建立された「日本館 鳳凰殿」だったといわれています。
また、外見上の左右対称の美しさもさることながら、いくつものブロックをつなぎ合わせたその構造や、さらに世界初といわれる全館スチーム暖房を取り入れるなど、地震や火災に強い造りも特徴でした。
奇しくも開業当日、9月1日は関東大震災が日本を襲った日でもあります。完成したばかりの「ライト館」は、不幸にも震災に見舞われましたが大きな損傷もなく、ホテルは被災した人々に客室を避難所として開放したり、諸外国の大使館や、メディアの仮の事務所として、場所を提供しました。
「ライト館」は残念ながら1964年に取り壊されてしまいましたが、愛知県犬山市の博物館明治村に、その中央玄関の部分が移築され、今なお当時の面影を残しています。
今月はフランク・ロイド・ライト生誕150周年を記念して、ライトがデザインした照明器具の復刻版が発売されるなど、さまざまな催しが行われています。
東京千代田区の帝国ホテル東京でも、特設スペースでライトにまつわるさまざまな展示が行われているほか、館内のバーではフランク・ロイド・ライト生誕150周年記念カクテル、「THE TIME(ザ タイム)~その時"現在"そして、これから~」も楽しめるそうです。
【フランク・ロイド・ライト生誕150周年記念展示】
■展示場所 : 帝国ホテル東京の本館1 階メインロビー内「インペリアル タイムズ」
■時 期 : 2017年6月8日(木)より ※鑑賞無料
また、帝国ホテル 大阪の「オールドインペリアルバー」でも、「THE TIME(ザ タイム)~その時"現在"そして、これから~」を楽しむことができます。
※詳しくは帝国ホテルHPをご参照ください。