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日本で言うところのいわゆる「温度」とは、「摂氏温度」をさします。水の沸点を100度、融点を0度として、その間を100等分した目盛りのことで「℃」という記号で表します。1742年にスウェーデンの物理学者セルシウスが考案したことから「セルシウス度」ともいわれます。
一方で「華氏温度」とは、水銀温度計を発明したドイツの物理学者ファーレンハイトによって1724年に考案された温度のこと。「°F」で表され、「ファーレンハイト度」とも呼ばれます。中国で「ファーレンハイト」に「華倫海」の字を当てたことから「華氏」と呼ばれるようになりました。
彼がこの温度を考案した説には複数の言われがありますが、その一つが、海水が凍る温度を0度、羊の肛門の温度を100度として、その間を100等分した目盛りに設定した、というものでした。華氏温度はアメリカやカナダ、イギリスで現在も用いられているんですよ。
ちなみに華氏温度では、水の沸点は212度、融点は32度となります。
華氏温度(°F)を摂氏温度(℃)に換算するには「℃=5(°F-32)÷9」を当てはめます。
「絶対温度」や「絶対零度」というワードを耳にしたことがありませんか?
温度に“絶対”って何だ?という感じる方も多いでしょうが、これは熱力学や物理学の世界でよく用いられる温度の単位。1848年、イギリスの物理学者ケルビン卿によって「絶対温度」の概念が考案されました。原子や分子の動きは温度が上がれば激しくなり、下がれば鈍くなります。温度が下がり、すべての原子や分子の動きが完全に停止する状態を「絶対零度」と呼びます。この温度を基準にした考え方が「絶対温度」です。
ケルビンによって、この「絶対零度」は「摂氏-273度(正確には-273.15度)」であると算出され、「絶対温度」は例によって「ケルビン温度」とも呼ばれ、単位は「K(ケルビン)」で表されます。
ちなみに「ケルビン卿」の本名は、「ウィリアム・トムソン」といいます。なぜ通称「ケルビン卿」なのかというと、彼がイギリスはグラスゴーに流れる「ケルビン川」の近くで研究生活を送ったことに由来するとか。
■ガリレオの空気温度計
1600年頃、イタリアの物理学者ご存知「ガリレオ・ガリレイ」が発明したといわれる「ガリレオの空気温度計」。
“液体の密度は温度に比例して変化する”という原理を発見したことから、この温度計が生まれました。
フラスコに25㎝程度のガラス管を通したゴム栓をつけ、それを逆さまにして水を入れたビーカーの中に(水の中に)ガラス管の先を入れます。気温が上がるとガラス管の中の水柱が上にのぼるので、その高さで温度の変化を知ることができます。これがガリレオの空気温度計です。
残念ながらこの温度計は、気圧の変化でも水柱の高さが変わってしまうので正確さに欠けていました。
■アルコール温度計
ガラス管の中に赤く着色したアルコール(エチルアルコールなど)を入れ、熱による膨張で変化するアルコール部分の長さで温度を測るのが「アルコール温度計」。アルコールは-117℃までは凍らないので、低い温度を測る際に有効です。一方で、沸点が低く70℃以上の測定には向きません。そこで、アルコールの上に気体を閉じ込め100℃近くまで測れるようにされています。また、アルコールは膨張率が大きいため、誤差が生じやすいのが欠点と言えます。
■水銀温度計
ファーレンハイトが、当時よく使われていたアルコール類の代わりに、純度の高い水銀を用いて温度計の精度を高めました。とはいえ、水銀は-39℃で凍ってしまうのでそれ以下の温度は測れません。また150℃以上では蒸発が激しくなり、こちらも測定不能です。150℃よりも高温のものを測りたい時には、水銀の上部に窒素などを高い圧力で閉じ込めておくと、水銀の蒸発や沸騰を妨げられ700℃程度まで測定できる温度計ができるそうです。
―― いかがでしたでしょうか? 温度にも、温度計にも種類あり、ですよね。
「温度計」は普段あまり目にしないかもしれませんが、「体温計」ならみなさんのご自宅にきっとあるはず。アルコール式、水銀式、サーミスタ式、赤外線式……いまやさまざまな体温計がありますが、どれをお使いでしょうか? おそらく折りたたんだままケースに入っている「取扱説明書」にも、この際じっくり目を通してみてくださいね!