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「夏も近づく八十八夜」という出だしの部分で広く親しまれている唱歌『茶摘み(ちゃつみ)』。この八十八夜というのは、立春から数えて88日目の日のことで、今のカレンダーではだいたい5月2日くらい。その3日後には立夏となり、暦の上では夏が始まります。
茶摘みもこのころに最盛期を迎えます。末広がりの「八」という字が重なることもあってか、八十八夜に摘まれたお茶は縁起が良いとされ、この日に摘んだ新茶をお供えする風習もあるそうです。
また、「八」と「十」と「八」を重ねて書くと「米」という字になるので、この日はお米を作っている農家にとっても縁起のよい日とされています。「八十八夜の別れ霜」という言葉もあるように、この日を過ぎれば霜の被害もなくなると言われているのですが、八十八夜はただ縁起がよいだけでなく、季節の変わり目の日として、農業を営む人々にとって大切な日でした。
お茶の葉は、収穫した順に一番茶、二番茶というように呼び名が変わります。新茶はこの一番茶に当たるもので、その年の春に初めて摘まれたお茶のこと。新茶の茶摘みの時期は、栽培する地域やお茶の品種などによっても異りますが、早いものでは3月中旬ごろから新芽が出て、そこから2週間くらいで新葉が開きます。この葉が新茶になります。新葉がだいたい4、5枚開いたところで、新茶の収穫が始まります。
新茶がおいしいのは、冬の間に長い時間かけて蓄えられていた養分がたくさん含まれているから。二番茶、三番茶となると、芽が出るまでの時間が短く、また気温や日照時間などの変化からお茶の味を構成する要素も変わるそうです。さらに成長するにつれて、茶葉も固くなっていきます。
おいしいお茶をいれるポイントは、大きく茶葉、水、そしていれ方の3つです。
まず悩んでしまうのが、お茶の葉の選び方。
お茶の種類、産地、品種、そして収穫時期といろいろあって迷ってしまいます。こんな時は、店員さんにアドバイスをもらうのが一番ですが、この時、自分がどんな味のお茶が飲みたいのか、好みの風味などを伝えるとよいでしょう。また、実は価格もお茶葉を選ぶ上では重要なポイント。お茶は価格と品質が比例すると言われていて、おいしいお茶を選ぶ際の基準のひとつになります。
次に水。水には硬水と軟水があります。ミネラルの少ない軟水の方が、お茶の成分に与える影響が少ないため、日本茶には合うと言われています。
そして最後がお茶のいれ方です。茶葉の種類や好みによっても異なりますが、お湯の温度が高いと渋みを構成するカテキン類やカフェインが出やすくなると言われています。温度や、茶葉をお湯に浸している時間など調整しながら、好みの味を探しましょう。また、急須から最後の一滴まで注ぎきるのも大切なポイント。茶葉の種類にもよりますが、お湯に浸している時間が長いほど渋みが出るため、しっかり注ぎきってしまうのが、二煎目を美味しくいれるコツです。
ちなみに、地図を見ると、茶畑は三角形のように並んだ3つの黒丸で表されています。一見、お茶とはまったく関係がなさそうなこの記号。実はお茶の実を半分に切った時に見える形がもとになっていています。ひとつのお茶の実の中にお茶の種が3つ、この地図記号のように並んでいます。
参考:『日本茶の事典』(株式会社スタジオクリエイティブ)、参考HP:国土交通省 国土地理院