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「つくし」は漢字で「土筆」と書くことはご存じですか? 皆さんがよく目にするあの形状ではなく、土から顔を出したばかりの頃に先端まで茶色い“袴(=葉)”に覆われている様子が筆に似ていることから「土筆」という字をあてられたようです。
ところで、つくしのまわりによく生えている杉の葉のような緑色の植物は、実はつくしの一部なのです。「杉菜(すぎな)」といって、地下でつくしとつながり、つくしが成長した後にニョキニョキと伸びてくる栄養茎です。
それに対してつくしは胞子茎。つくしの頭の部分(=穂先)には緑色の胞子がたくさん詰まっていて、成長すると穂先が開いて胞子が散ります。
つくし摘みをするなら、桜が咲く頃までは日当たりのよい土手や原っぱ、休耕中の畑などを探してみましょう。桜が散る頃なら日当たりの悪い斜面や、原っぱなら下草の中を探してみてくださいね。
美味しく食べられるつくしは、頭の部分が固く閉まり胞子が散る前のもの。茎はしっかりと太いものを選びましょう。摘む時は、茎の根元をそっとつかんでゆっくり引き抜くようにします。
つくしは意外にも、アンチエイジング効果が期待できる抗酸化成分、カロテンやビタミンEなどー含む、栄養価が高い山菜です。さらに100gあたり1200μgのカロテンを含み、これはブロッコリーやオクラよりも多い含有量。何より、ビタミンEは野菜の中でトップクラスの含有量なのです!
一方で、ビタミンB1欠乏症を引き起こすチアミナーゼや、強い生理作用をもつアルカロイドも多く含むため、つくしの大量摂取は避けたほうがよいとされています。とはいえ、あく抜きし惣菜として食べる量ならば心配ありません。
つくしは収穫したその日、もしくは翌日には下処理をしましょう。
●まず新聞紙などを広げ、その上でつくし一本一本の袴(はかま)をすべて取り除きます。袴はつくしの葉にあたる部分で、固い繊維質のため茹でても食べられません。
●次に、つくしの頭の部分(=穂先)も開いているものは取り除きましょう。
●上記が済んだら、ボウルにつくしを入れてよく水洗います。
●鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したらつくしを投入します。
●再び沸騰してから15秒後、つくしをザルですくって冷水に放ちます。
●これを水を替えて3回繰り返せば、下処理の完了です。
下処理が済んだものは冷蔵庫で3日程度保存可能。長期保存したい場合は下処理後に冷凍しましょう。
下処理したつくしは、卵とじやお浸し、茶碗蒸しの具、パスタの具など様々な料理に利用できますが、おススメは“つくしのきんぴら”。作り方は以下のとおりです(2人分)。
【手順1】フライパンにごま油大さじ1/2を熱し、水気を切ったつくし200gを入れる
【手順2】中火でさっと炒め、みりん大さじ1、しょうゆ大さじ1を入れてさらに炒める
【手順3】水っぽさがなくなったら火を止め皿に盛る
【手順4】炒りごま大さじ1をふりかければ、はい出来上がり!
子どもも好きな甘辛味で、つくし特有のほろ苦さは控えめ。温かいごはんにぴったりの“つくしのきんぴら”を、ぜひご家庭で作ってみてくださいね!
さらにもう一品!
「なかなか200gのつくしを用意できない」……そんな方なら、“つくしの天ぷら”はいかがでしょう?
天ぷらなら下処理も茹でなくて(水洗いした状態で)OK! 水気を切ってから衣を付け、さっと油で揚げるだけです。ほろ苦さもしっかり残り、ちょっとの量で「春の味覚」を満喫できますよ。
―― お散歩がてら気軽に収穫できる春の山菜「つくし」。探して、見つけて、味わえば……あなたにも暖かな春が訪れるでしょう!